■トップ写真の解説
長年カメラに収めようとねらっていた,神戸市内のムカシトンボの産卵の写真をやっと撮ることができた.このメスはウワバミソウの茎に産卵をしている.産卵を始めるまでは非常に敏感で,ちょっとした刺激にも反応して逃げてしまう.最初見つけたとき石を蹴ってしまって,逃げてしまった.これは2度目の個体である.一度落ち着いて産卵を始めてしまうと,カメラを近づけても平気で産卵をする.
メスの産卵.2011.5.21., 兵庫県神戸市.
■生態

幼虫は数年間水の中で暮らす.そして羽化する年の冬の終わり,水から出て陸上生活をする.4月中に羽化して,早ければその下旬から摂食飛翔する個体が見られる.5月に入って成熟すると,源流域のジャゴケ,フキ,ウワバミソウ,ワサビなどに産卵する.成虫は6月にはもう姿を消している.
オスの静止.2009.5.3., 兵庫県姫路市.
■幼虫写真

ムカシトンボの幼虫も,以前ほどたくさん取れる場所がなくなってきた.ムカシトンボは源流域で生活しているので,あまり開発の手が入らないと思っていたが,鉄砲水を防ぐための工事がムカシトンボの生息するような源流域で時々行われていて,環境が変化した場所がある.また木が切り倒されて明るくなってしまったりすると,産卵植物などに影響が出て,微妙に環境が変わってしまうように感じられる.
野外写真.2010.8.22., 兵庫県神戸市.
■羽化殻

ムカシトンボの羽化殻は,普通のトンボの羽化殻が見つかるような水辺では見つからない.それは,幼虫が羽化前に水から出て陸上生活をするためである.上陸した幼虫はかなり水辺から離れた位置で羽化をする.写真の羽化殻は,水辺から 5m ほど離れた登山道の石段の下に着いていたものである.
登山道の石段に着く羽化殻.2011.5.8.兵庫県姫路市.


