トップ写真の解説
キイロサナエは,1990年代には各地でその姿が見られましたが,最近数が見られるところがほとんどなくなってきました.そんなこともあって,メスの姿はなかなか見ることができず,産卵にもなかなかお目にかかれませんでした.ところが,雨の天気予報の信じず,思い切って産地へ出かけたこの日,見事に産卵に出会うことができました.長い間じっとチャンスを待てば必ずそれは叶うものだと思いました.このメスは連続打水産卵をしています.メスの腹端に水面の泥がついています.
打水産卵するメス.2017.7.2.
成虫
キイロサナエは春二番のトンボです.不思議と5月の20日前後に羽化をはじめ約3週間続きます.成虫は7月に入るまで飛んでいます.オスは流れの横に生えている草などに止まっています.しかしメスを捕まえてタンデムになる姿はほとんど見たことがありません.メスはオスの見えないようなところへ入ってきて産卵を行います.産卵はさまざまで,連続打泥産卵,連続打水産卵,間欠打水産卵,静止して卵塊をつくって打水する産卵,などの様式を,産卵場所によって採用しています.
オスの静止.2015.6.14.
幼虫
ヤマサナエに似ていますが,腹部第9節の縦横比が異なり,キイロサナエの方が細長い感じになっています.泥を落とすと,ヤマサナエとは腹部背面の斑紋が異なります.今までの経験では,生時の泥を落とした幼虫では,腹部第6節くらいまでの腰の部分が写真のように黄緑がかっていて,ヤマサナエではこのような色彩は出現しなくて淡褐色です.卵は短期間で孵化し,幼虫はその後3−4年間水中で生活して,最後の冬を終齢幼虫で越したものだけが翌春羽化します.
スタジオ写真.2016.4.10.