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No.022. 日本蜻蛉学会滋賀大会の話題から(1) アカトンボの減少

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11月15日(土)から16日(日)にかけて,滋賀県立琵琶湖博物館で,日本蜻蛉学会大会が行われました.一年間の成果を持ち寄り,たくさんの研究発表が行われましたが,私がもっとも惹かれたのは,水田にまかれる薬剤のトンボに対する影響でした.特に水田生活者とされるアキアカネの減少が各地で報告されており,これとの関連に興味が持たれます.

殺虫剤が昆虫に影響を与えることは自明のことですが,水田に生活するトンボに関しては,今まであまりその影響を真正面からとらえ調べる研究者はいませんでした.今回は育苗箱施用浸透性殺虫剤のトンボに対する影響など,薬剤の影響に関する発表が2件ありました.兵庫県ではこの種の新殺虫剤の使用量が1995年あたりから急増しているそうです.私が神戸でアキアカネ(写真上)の減少に気づいたのが1998年ですから(トピックス記事参照),時期的には見事に一致しています.また他府県,例えば富山県など,でも,アキアカネの減少とこの種の殺虫剤の使用量増加が一致しているそうです.

こういった研究は因果関係の立証が難しく,これから先の研究に興味が持たれるところです.もちろん,トンボの減少の原因は単一ではないでしょうが,数年の間に,「最普通種」であったものが,「絶滅危惧Ⅰ類の種」より見つけにくくなるほどに減少したのは,その減少原因が,広範囲にかつ劇的に作用する何かであると考えねば,おそらく説明はつかないでしょう.