トンボノート
No.854. ベニイトトンボの産卵.2022.6.30.

今日は県外へキイロヤマトンボを見に行きました.しかし時期が遅いからか,またはあまりに暑いためか,何頭かそれらしいのが飛んだだけで,成果がありませんでした.そこで,ベニイトトンボがたくさんいる場所へ案内してもらうことにしました.兵庫県のベニイトトンボはとても個体群密度が低いので,繁殖活動を観察するのが難しいのです.でもここならうまくいくかもしれません.気温はすでに35℃を超えているようですが,この暑さの中でも活動しているでしょうか?


▲日陰に止まっていたベニイトトンボ.

少し池のまわりを歩き回り,その一角で3ペアが繁殖活動をしているところを見つけました.単独オスもペアに時々干渉しながら飛んでいました.


▲池の一角で活動しているベニイトトンボたち.

タンデムから交尾にいたるペアが2組ありました.そのうち一つは交尾がなかなかうまくいかず苦労してやっとつながりました.


▲下のペアが,あまり交尾がうまくいかなかったカップル.

ベニイトトンボの産卵は,水面に浮かぶ植物の葉や茎にメスが止まって行われ,オスがメスの前胸をつかんでほぼ直立の歩哨姿勢をとります.モノサシトンボやグンバイトンボに比べるとオスは少し前傾姿勢ですが,これ,カメラを水面ギリギリに置いて撮らないとフォーカス面がトンボと一致しません.

▲少し前傾姿勢なので,斜め後ろからだとフォーカス面にトンボ全部が入る.


▲カメラを水面ギリギリに置こうとすると草が邪魔になる.

2組の交尾も終わり,それぞれ産卵を始めました.やはり近くで産卵するのが好きなようです.隣り合わせで産卵していました.グループ産卵的な行動が見られました.


▲両方にピントが来る位置には草があって,無理でした.


▲やっとカメラを置く場所に草がないような位置で産卵しました.

この暑さの中,産卵中のベニイトトンボたちはどんな顔をしているのでしょうか.オスとメスの顔をアップにしてみました.当然ですが,平気な顔をして産卵をしていました.このトンボ,暑さに強いです.


▲産卵中のオスとメスの顔のアップ.

この2組のカップルは,なかなか難しい位置でばかり産卵して手こずらされました.3組目のカップルは少し離れた,手前に遮るものがない位置で産卵していました.


▲暑いのでしょうか,ちょっと日陰になっているところで産卵していた3組目.

夢中で写真を撮っていると,あまりの暑さであることを忘れてしまいます.ローアングルにするためには,私も地面に転がったりもするのですが,知らぬ間に汗だく.このままでは日射病になってしまう(今は熱中症というのですね,年齢がばれそうです)感じがして,このあたりでやめました.帰り道,鮮やかな黄色のキイトトンボを見ると,なぜがほっとするのでした.


▲キイトトンボもたくさん見られた.

今日は車で移動する途中,車の車外温度計が,はじめて40℃を表示するのを見ました.今日は異常な暑さだったのですね.丹念に水分を補給しながらの活動で,なんとか最後まで持ちこたえました.


▲車の車外温度計が40℃を指した.