トップ写真の解説
4月5日というのは,私にとっても,兵庫県下でのトンボ成虫繁殖活動の最も早い記録です.春の早い時期は抽水植物もまだ伸びていなくて,通常水面より高い位置で産卵するオツネントンボも,水面に倒れた抽水植物の枯れ組織に産卵しています.
早春の産卵.2011.4.5.

成虫
成虫で冬を越すトンボの一つです.春の活動は一番早いといってもよく,年にもよりますが,4月の初めから繁殖活動を行っています.その後比較的短期間で姿が見られなくなり,6月下旬に次の世代の成虫が羽化してきます.それから夏,秋,冬を越して,翌春に成熟します.未成熟成虫はかなり広い範囲を飛び回っているのではないかと思われます.ビオトープ池などを造成すると,その初めての初夏に大量にオツネントンボが羽化することがあります.そういう意味で,パイオニア種的な要素が感じられます.
メスの単独植物組織内産卵.2010.4.17.

幼虫
オツネントンボの幼虫はアオイトトンボ属の幼虫とよく似ていますが,下唇が細くなく,かつ短いので簡単に見分けられます.またホソミオツネントンボとは,本種の方が倍くらい大きいので,終齢になると簡単に見分けられます.春に産下された卵は,短期間で孵化し,幼虫は急速に成長して羽化に至ります.
亜終齢幼虫,スタジオ写真.2011.6.11.