今日は,昨日ロケハンした場所へ,平地性のアカトンボ類の繁殖活動を観察に出かけることにしました.昨日のロケハンの感じでは,かなりの種数がいけそうな感じです.朝,9時前に現地に到着しました.

観察地は,水がよく枯れる,浅い湿地状の池です.今日のターゲット種は,いちおうマイコアカネということにしています.マイコアカネも本当に数が減って,繁殖活動を観察できる場所が少なくなってきていますので,ロケハンの成果を生かすことにしました.

9時前では,繁殖活動にはまだ早いので,周辺にどんなトンボが止まっているかということから調べることにしました.

最初に見つけたのは,なんとアキアカネ.アキアカネで大騒ぎしなければならないというのは,昔を知っている人間にとっては,本当におかしな話です.アキアカネがこれほど数を減らしたのは,結局は,今の水田環境がトンボの生息に合わなくなったということでしょうね.もちろん薬剤の使用も含めてということです.

本命のマイコアカネもあちこちに止まっていて,草をかき分けて歩くと,ぱっと飛び立ち,ホバリングします.オスに混じってメスの姿も散見されました.これは産卵活動が期待できそうです.ただここはあまりに草が茂りすぎており,草むらの中で産卵されると,写真記録としてはちょっと都合が悪い,などと考えながら,さらに歩みを進めていきました.

次に見つけたのは,ノシメトンボです.湿地の外側はうっそうとした草原になっており,ノシメトンボの産卵環境になっています.今日はひそかにノシメトンボの産卵も期待してやって来ています.オスもメスも見られ,これは産卵が期待できそうです.こんなふうに皮算用しながら,さらにどんなトンボがいるか探していきました.アオイトトンボがあちこちで飛んでいます.そんな中にひときわあざやかなアオイトトンボがいました.なんとコバネアオイトトンボのメスでした.

コバネアオイトトンボも最近非常に数が減ってきて,確実に見られるところがもうわずかしか残っていません.この場所も,以前はそこそこいたのですが,この何年かは姿を見ていない状態でした.細々と生き残っていたのですね.メスが見つかったので,ちょっと頑張ってオスを探してみると,意外とすぐに見つかりました.でもその後はいくら探しても全く姿がなく,数はやはり相当少ないようです.オスメスに出会えたというのは運が良かったといえるでしょう.彼らも頑張って生きのびて欲しいものです.

アオイトトンボ類が気になり始めると,アジアイトトンボの交尾態が飛んでいるのが目につきました.アジアイトトンボというのは春一番に現れて,秋遅くまで,ほとんどフルシーズン見られるイトトンボです.そろそろ見られる種類も飽和状態,あとアオイトトンボだけを記録しておかないといけないということで見渡すと,アオイトトンボの連結・交尾のカップルが目につき始めました.もうそろそろ繁殖開始時刻になってきたようです.

そんなとき,マイコアカネの交尾カップルが目に飛び込んできました.マイコアカネは,コノシメトンボやナニワトンボやリスアカネなどより時間的に少し早い目に繁殖活動を開始します.今の時刻は9:45,だいたい,10時前には始まるようです.交尾態のカップルは,交尾状態のまま,草の中にもぐりこんで,わずかに水がたまった泥面の上を行ったり来たりしています.どうやら草の中で産卵するようです.写真には撮りにくいと思いながらも,本番に向かってテンションをあげていきました.ところがこの交尾カップルは,メスを放してしまいました.メスは草に止まって,産卵をする気配はありませんでした.

そのとき,別の産卵カップルが飛び込んできました.マイコアカネの繁殖活動開始時間帯に入ったようです.このペアは,草の間を縫うように飛び回りながら,草の下の空間で産卵をし始めました.

マイコアカネの連結打泥産卵は,泥面を打った後上昇する距離が長く,上からだと非常にピントが合わしづらいのです.でも今日の本命ターゲットですので,神経を集中して撮影を続けました.その後2ペアが産卵に入ってきましたが,やはりうまく記録することができません.この場所は次々と産卵に入ってきていい感じなのですが,ここを諦め,もう少し開放的なところへ出てみることにしました.今はちょうどマイコアカネの産卵ピーク時刻のようですから,きっと別の場所にもいるでしょう.

やっと1ペアだけ,広い場所で産卵しているマイコアカネを見つけました.でもこのペアは非常に神経質で,3mくらいまでしか近づくことができませんでした.そうこうしている間に他のアカトンボたちもどんどんと産卵に入ってきました.最初に入ってきたのは,なんと,アキアカネでした.またもやアキアカネで大騒ぎしなければなりませんでしたね.

でも,最初に静止しているオスを見たので,少し予感はしていました.が,的中すると嬉しいものです.そうこうしていると,水面で,コノシメトンボが産卵を始めました.息つく間もなく,次のトンボの記録です.腰を落として息を止めて,いやはや連チャンは非常に堪えます.

コノシメトンボは5ペアくらい入ってきました.コノシメトンボは記録するのはたやすいとたかをくくっていましたが,ここのコノシメトンボは結構移動するので,ついていくのが結構大変.ピンぼけの山をつくってしまいました.上の写真は気を取り直して撮った最後のペアです.

さて,知らぬ間に時刻は11時近くになっていました.約1時間,トンボと格闘し,いささか集中力が切れてきました.でもあと,事前に成虫を見ている中で,ノシメトンボだけ産卵活動を記録できていません.ここまでに遠くで産卵しているペアを見てはいましたので,何とかこれを記録しようと,もう少し待つことにしました.ところが,雲が出てきて,冷たい風も吹くようになってきました.もうだめかと思い,帰ろうとしたとき,すぐ横にノシメトンボのペアが産卵に入ってきました.

生憎曇り空のため,ピントが合わしづらく,これまたピンぼけの山になってしまいましたが,なんとか,今日4種目のアカトンボの産卵を記録することができました.いうことで,だいたいやって来そうなアカトンボの繁殖活動を見ましたので,これでここを後にすることにしました.コバネアオイトトンボの産卵活動については,かなり探しましたが,見つかりませんでした.

帰り道,水を大きく落とした池があり,池岸に広く泥面が広がった池がありました.オオキトンボの産卵環境が現出しています.ダメモトでちょっと覗いてみますと,オオキトンボのオスがホバリングしており,連結態のカップルも飛んでいました.ラッキーです.ここで,オオキトンボの観察をすることにしました.

連結態のカップルは広く池面を飛んでいて,姿をすぐに見失ってしまいました.でも,必ず産卵するという確信で,オスが一番多く集まっているところで待つことにしました.ほどなく,カップルが水際で産卵を始めました.オスが追いかけ回すので,なかなか落ち着いて産卵してくれません.

あちこち飛び回ってから,やっと一ヶ所で産卵をするようになりました.でも,生憎太陽が雲に隠れ,またもやピントの合わしづらい状況になってしまいました.ピンぼけの山ができたのは言うまでもありません.まあ,それでも,オオキトンボの産卵を「ついでに」観察できたので,これはラッキー以外の何ものでもありません.

この池はあまり環境のいい池のようには見えませんでしたが,オオキトンボは広い範囲を移動して産卵場所を探すトンボですので,オオキトンボを探すなら,写真のような環境の池があれば覗いてみることが大切です.

オスもやがてホバリングをやめ,静止するようになりました.オオキトンボも繁殖活動を終える時刻になったようです.今日は,半日で,アカトンボ5種の産卵活動を記録することができ,さらにコバネアオイトトンボまで見ることができました.400記事達成記念としては,成果は十分という感じです.

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