トンボノート
No.862. 身近な場所でも意外と幸運が.2022.7.26.

今日は,「ヤブヤンマを藪の中で探す」を実行しに行きました.あまり遠くへ出かけても仕方ないので,過去に見つけたことがある近場に出かけました.薄暗い林の中の山道を歩きながら止まっているヤンマを探すわけです.林の中で休むヤンマは,一番暑いお昼頃がいいので,最初に明るい池のある公園に寄ってみました.そろそろタイワンウチワヤンマが池に戻ってきている頃です.池では,タイワンウチワヤンマやチョウトンボが飛び交っていました.


▲いよいよタイワンウチワヤンマの季節がやってきた.夏本番である.


▲後翅の先端に透明部分のあるチョウトンボのオス.

1時間ほど探索し,ヤブヤンマを探しに行きました.11:00頃現地に入り,林の周辺や中を歩き始めました.しかしトンボの姿は全くといってよいほどありません.小さな池の畔でヒメアカネを見つけました.


▲未熟なヒメアカネのオス(上)とメス(下).

気温はとうに30℃を超えていますが,まあ日陰の山道を歩いているのでそれほど暑いわけではありません.まだカトリヤンマは早いかなぁなどと考えながら道を進んでいきますと,エゾトンボのメスが休んでいるのに出くわしました.最近はエゾトンボが激減しており,去年も姿は見たものの,オスの写真すら撮れない状態でした.それがなんとメスと出会ったのですから嬉しさは十倍です.産卵時以外に出会うのは珍しいことです.


▲林の縁の草に止まって休んでいるエゾトンボのメス.


▲斜面によじ登って接近撮影.


▲手前に植物体の陰が入ってしまった.

ひとしきり撮影し,そのままにして先を進みました.すると一人のトンボ屋さんが木の枝に向けてカメラを構えていました.何かヤンマがいるようです.撮影アクションが終わるのを待って近づきますと,なんとマルタンヤンマです.数枚シャッターを切りましたが,相手の方は動画を撮るということで,すべてのアクションが終わるのを待つことにしました.そして撮影場所を譲ってもらい,近づいて撮りました.


▲林の縁で休むマルタンヤンマのメス.


▲マルタンヤンマのメス.

兵庫県内でのマルタンヤンマというのは,写真撮影を半ば諦めているところがあって,こういうチャンスに出会えたことはとても幸運でした.お礼といっては何ですが,この方に先のエゾトンボのメスの場所へ案内しました.


▲こんな感じのところに止まっていた.

この後,もちろん意欲的に探しましたが,私にはこれ以外の個体を見つけることができませんでした.今日はすぐに帰るつもりで飲み物を持っていなかったので,探索時間を増やした結果熱中症一歩手前の状態になり,探索を終えました.気温は日陰で36℃になっていました.

マルタンヤンマは遠方へ出かけていっても,出会えなかったり,写真が撮れなかったりすることがほとんどなのですが,ちょっとした散歩気分のトンボ探索で,今日のように最近出会いにくくなったトンボたちに出会えることもあるので,やはり諦めずに攻めないといけないということです.結局ヤブヤンマには出会えず,やはり今年はヤブヤンマに手こずりそうな予感です.