トンボノート
No.840. アオヤンマの生存確認調査.2022.5.30.

今日は午前中は晴れるとのことでした.午後からは雨になる模様で,短時間で行える調査として,昨年姿が見えなくなったアオヤンマの確認に出かけてきました.昆虫の場合,一年で消滅を語るのは困難です.もっとも,見つけられなかったときは悲観的になるものですけど...

着いたのは9:00少し前.もう空は雲が全天を覆っていて,時々その隙間から日が射す程度になっています.生息地はコシアキトンボが摂食飛翔している以外,トンボの動きはありません.30分ほどしても全く飛びません.ただ,コシアキトンボではないようなトンボが時々樹木から抽水植物帯の方に降りてくるのが見えます.でも遠くの方で,種名が確認できません.仕方ないので,付近の池に避難していないか回ってみましたが,やはり姿はありません.

最後にもう一度最初の池に戻りました.すると,1頭だけアオヤンマと確認できるほど近くを飛ぶ個体がありました.生き残っていたようです.アオヤンマは生息地に張り付いたような活動をするので,天気のよい日に1時間も待っていると必ず姿を見ることができるトンボです.それが,これほど見つかりにくいのは,個体数が非常に少ないことを意味しているのだと思います.やはりこの場所では絶滅に近い状態であることは間違いないでしょう.翅の先が破け,見るからに末期的なイメージを漂わせるオスでした.


▲ただ1頭活動していたアオヤンマのオス.

昨日今日と,トンボの危うい状況ばかりをお伝えしています.でも,こうやって,一カ所,また一カ所とトンボの活動している場所が消えていくのです.生息地の消失,改変,また見た目の環境は全く変化ないのに消失,と10年以上も観察を続けていると,減少傾向を肌で感じることができます.ここのアオヤンマが生き残っていってほしいものです.