トンボノート
No.802. コシボソヤンマが帰ってきた.2021.8.11.

昨日・今日と,エゾトンボ系の姿を探しに行きました.昨日は,例年見られるハネビロエゾトンボの姿がなく,今日はタカネトンボを見に,山の池に行くことにしました.結果からいうと,まだタカネトンボには早かったのか,まったく飛びませんでした.池にいたのは,モノサシトンボ,オオアオイトトンボ(周辺),オオシオカラトンボ,そしてオオルリボシヤンマでした.

▲モノサシトンボのタンデム.メスはまだ赤い色をしている.

▲モノサシトンボの交尾2連.

▲池の周辺のササ原に潜り込んでいるオオアオイトトンボのメス.

池では,ネキトンボが羽化をしていました.別の所からもネキトンボの処女飛行個体が飛び出し,合計2頭見つけました.

▲ネキトンボの羽化.

オオルリボシヤンマは,1頭が池の上をすばしこく飛んで,摂食をしていました.さらに別の1頭は,産卵にやって来たメスを追いかけていました.まだ8月前半ですが,もうオオルリボシヤンマは産卵をしているのですね.早い感じです.

▲池の上を飛ぶオオルリボシヤンマのオス.

▲コウホネの中に潜りこんだメスの上でホバリングする,オオルリボシのオス.

▲コウホネの茂みの中でオオルリボシヤンマのメスに接近しているオス.

▲産卵するオオルリボシヤンマのメス.翅が傷んでいる.

ということで,目的のタカネトンボは今日はあきらめることにしました.11:00に池を離れ,帰りにコシボソヤンマの姿がないか,以前毎年行っていたポイントへ行ってみることにしました.この場所ではこの3年ほどコシボソヤンマの姿を見ていません.以前川が渇水によって干上がり,その次の年から姿がまったく見られなくなったのです.最後の確認は2018年でした.もう帰ってこないかなと思っていたのですが,今日産卵メスに出会いました.

流れをジャブジャブ上がっていくと,その水音で驚いたのか,メスが木の上に方に飛び上がりました.「あっ,いたっ」と,とても嬉しかったです.久しぶりのご対面です.

▲驚かせて飛び上がった産卵していたコシボソヤンマのメス.

でも,慌てることはありません.このコシボソヤンマのメスは,20分もすれば,必ず下りてきて産卵を再開します.過去の観察からその確率が非常に高いことを経験しています.

飛び上がってしばらくは.完全に静止した状態でじっとして止まっていました.そして約15分ほど経ったとき,翅を小刻みに震わせ始めました.体を温めているのでしょうか? もう間もなく飛び立つはずです.そして17分後,パッと飛び立ち,左右に行ったり来たりしながら下りてきて,初めに産卵していた木の切り株に止まり,産卵を再開しました.





▲木の切り株に止まって産卵を再開したコシボソヤンマのメス.

少しずつ後ずさりしながら,産卵を続けます.一度再開すると,ストロボを焚こうが近づこうが,お構いなしに産卵を続けるから不思議です.2度ほど飛び立ち,産卵場所を変えました.





▲産卵場所を変えながら産卵を続けるコシボソヤンマのメス.

このまま彼女に付き合うと,たぶん2時間以上になると思いますので,20分ほどで切り上げることにしました.「あとはだれにも邪魔されず,頑張って産卵を続けてください.そしてその子孫が,またこの場所を飛び回る日が来ることを祈っています.」なんてちょっとキザな言葉を思い浮かべながら,産卵をあとにしました.

▲これから1,2時間は産卵を続けるだろう.頑張ってください.

毎年一回は顔を見たくなる兵庫県のトンボたち.コシボソヤンマとは,来年以降もまた出会えることができそうです.