トンボノート
No.717. マイコアカネが消えた.2019.9.26.


▲去年の9月22日に観察に行ったマイコアカネ.たくさん飛んでいた.

今日は快晴で,絶好のトンボ撮影日より.まだマイコアカネの行動をビデオに撮っていないので,じっくりと時間をかけて撮影に挑もうと,満を持して出かけました.9:00ころに現地に着きました.現地の池の状況は全くの問題なしで,気温も十分.

▲マイコアカネが好む平地の池のヒメガマの群落の今日の姿.去年はこの間をたくさん飛んでいた.

ところが,マイコアカネの姿が全くないのです.周辺のねぐららしいところも含めて,2回まわってみましたが,ただの1頭もいません.いたのは,オオキトンボと飛び回るギンヤンマ,その他アオイトトンボが2頭いただけでした.マイコアカネは生息地を離れて移動するトンボではなく,未熟なときも周辺の木陰で過ごしています.そして秋になると水辺へ出てきます.そのマイコアカネが,池とその周囲にまったく姿がなかったのです.

▲この池のすぐ横の木陰で過ごす未熟なマイコアカネ. 池の水は大きく落とされていた.2018.8.20.

この池は時に大きく水を落とすことがあります.ひょっとしたら,ちょうど幼虫期や羽化期に,ヒメガマの群落の部分に水がなかったのかもしれません.池のつくりから見て,水が2,3m落とされれば,浅い岸にあるマイコアカネの生息域は完全に干上がります.どうもそんな感じがします.

▲池にはオオキトンボが1頭だけぽつんと止まっていただけである.

マイコアカネは,平地や山裾のヒメガマなどが茂る池に生活しています.こういった池から今,どんどんトンボが消えています.その中の一つがマイコアカネで,まとまってみられる池がなくなっています.そこで今日,10年以上も前にマイコアカネがいた平地の池に念のため行ってみました.

▲10年前マイコアカネがいた池.ちょっとヒメガマが茂り過ぎているが.




▲アオモンイトトンボのオスとメス.

その池にいたのはたくさんのアオモンイトトンボとシオカラトンボ1頭,アジアイトトンボ1頭だけでした.アカトンボは何もいませんでした.もう一つ別の平地の池にも行ってみました.そこにはオニバスが茂っていました.しかしトンボの姿はシオカラトンボとショウジョウトンボがそれぞれ1頭ずつでした.

▲もう一つ別の平地の池に行ってみたら,そこはオニバスがたくさん茂っていた.
▲上の池にいたシオカラトンボ.

まあ,この時期,平地の池に行ってもアカトンボはなかなかいないというのは十分予想されたところですが,それにしても,何もいない.ただただ暑い日差しがそそぐだけです.あまりに成果がないので,趣を変えてミルンヤンマを見に行ってみましたがこれもまったく手応えなし.今日はダメの予感がしました.しかしやっと,通りすがりの小さな池にリスアカネが集まって活動しているのに出くわしました.

▲リスアカネがあちこちの木陰に止まっていた.

11時30分ころになると,連結ペアがどこからともなく池に入ってきて産卵を始めました.やっと緊張感を持って撮影に挑むことができました.









▲草の間で連結打空産卵するリスアカネ.
▲珍しく,産卵途中で止まって休息した.

この時期はナニワトンボなどがいるところへ出かければ,それなりに成果があるのは分かっていましたが,マイコアカネが消えたことから,あえて今日は,この時期にあまり訪れない平地の池にこだわってみました.平地の秋はまだもう少し先のようです.