続 トンボ歳時記
No.662. トンボの生き残り調査(3) まだ3種いた.2018.12.21.

今日はダウンジャケットを着ていると汗ばむほどの陽気です.外気温計で15度,快晴,無風.生き残り調査には最適の日です.とにかく数を回ろうということで池を6つ,湿田を1つ見てきました.そのうちの湿田と1つの池でトンボを見ることができました.それでは,逆順で,最後の池から紹介しましょう.

▲キトンボの交尾態.池の外のコンクリートの壁に止まっている.

この池は,例年キトンボが遅くまで活動している池です.そろそろ年末が近づきましたので,今年もやって来ました.まず池に入る前に,池の外で,キトンボが交尾しているのに出くわしました.もう終わりが近かったようですぐに飛び立ちました.今日は産卵をみることができそうな予感です.

池に降りてみると,たくさんのキトンボがいました.オスはあちこちに止まっていて,近づくとすぐに飛び立つ状態です.全部で10頭は越えていました.池の中央をビュンビュン飛ぶオスもいて,まあ,暖かいですから,もう元気いっぱいという感じです.

▲オスは太陽光が背中の真上から当たるような,傾きのある石に止まっている.

池を見渡しましたが,産卵しているようすはありません.さっきの交尾態は池の方に飛んでいったようですが,見当たりません.オスと戯れていると,タンデムのペアが池の方から飛んできました.メスの腹部が濡れているので,産卵途中の休息でしょう.気温の低いこの時期のキトンボは産卵を中断して暖をとるためによく止まります.

▲タンデムのペア.産卵していたのだろう,メスの腹部先端が濡れている.

このペアは,オスに追われて,姿を消してしまいました.仕方なくうろうろしていると,向こうの方で水際で産卵しているペアを見つけました.

▲キトンボの産卵.キトンボは水の透明度の高い池によく現れる..

▲キトンボの産卵.水際の石の上に腹端を打ちつけている.

慌てて近づくと逃げるので,そっと近づいたら,こちらを向いて産卵していたので待つことにしました.ゆっくりとこちらにやって来ます.

▲待っているとだんだんとこちらに近づいてくるキトンボの産卵ペア.

▲キトンボのペアが打水した瞬間.このあと打泥するのだ.

▲今日は打泥の後あまり高く上がることなく,チョンチョン産卵であった..

▲キトンボペアの打泥の瞬間.

やはりキトンボの活動は遅くまで続きます.12月の20日を過ぎると,キトンボしか残っていないような状態になるのですが,今年は違います.キトンボの集団の中に,なんとタイリクアカネが混じっていました.私の今までで一番遅い記録は,2009年に観察した11月29日というものですから,この記録を3週間ほど伸ばしたことになります.12月の記録は初めてです.

▲タイリクアカネのオス.キトンボに混じって岸辺を飛んでいた.

さて,最後の池は非常ににぎわっていましたが,やはり12月下旬ですね.他の池はどこもひっそりとしていました.唯一,12月15日に見た湿田で,まだアキアカネが生き残って飛んでいました.全部で3頭確認し,1頭は遠くて種名を確かめられませんでした.でも多分アキアカネだと思います.この中にはメスが1頭含まれていて,まだ産卵をする可能性が残っています!?.アキアカネの私の遅い記録も,今日の発見で塗り替えられました.今までは2011年12月17日というのが,もっとも遅い記録でした.

▲アキアカネのオス.飛び方は少し弱々しかった.まだ10時前だったからかもしれない.

▲アキアカネのメス.まだ産卵できるメスだろうか.

ということで,今日は,まだまだ元気なトンボたちを紹介できました.今日で,今年のトンボ歳時記の記事が100を越えました.同一日に2つ記事を書いていたりしたことがあるのですが,出かけてもトンボがいなかったため記事を書かなかった日もありますので,今年の観察行も100回を越えました.100回を今年の目標にしていましたので,こちらは達成できました.あと1週間ほどして,また来ることにしましょう.キトンボの方は生き残っているような気がしますね.