続 トンボ歳時記
No.628. 近所まわり,2018.8.26.

今日は,自分のあしもとのトンボ調査をしてみることにしました.家から歩いて出かけ,一万から一万五千歩程度の範囲のトンボ調査です.歩数計を身につけて歩き,近くの池や川の近くの小径を歩いて,主にアカトンボがいるかどうかを調べました.

まず最初のコンクリート三面貼りの川,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,そして,ハクセキレイ?(鳥の名前はよく分かりません)がハグロトンボを加えているのに出会いました.

▲ハクセキレイ?が,ハグロトンボをくわえている.

▲三面貼りの川に突き出た枝の先に止まるオオシオカラトンボ.

鳥はトンボを食しますが,口にトンボをくわえている場面には,意外と出会いません.家から5分のところでこういうシーンに出会えるとは,ラッキーです.そのまま30分ほど歩き続け,近くの環境のよいため池に着きました.ガガブタが満開で,タヌキモも花を咲かせています.ギンヤンマをはじめとしたトンボたちも飛び回っていました.ただ,住宅街のため池は,子どもたちが簡単に入れないように,高い柵をしています.今日は長靴も持ってきていませんので,遠くからながめるだけにしました.ただ,柵のすぐ近くの草むらに,タイワンウチワヤンマのメスが止まっていました.

▲家の近くの,比較的環境のよい池.

▲タイワンウチワヤンマのメスが止まっていた.

この池を目指した理由は,この近くの池に,むかしナニワトンボがいたからです.その後姿を消しましたが,また来ていないかという期待があったからです.もう一つはマイコアカネです.写真の池に生息していて,その未熟な個体が池の横の小径の木陰によく止まっていたのです.まだ生き残っていれば,今日出会えるかもしれません.

▲マユタテアカネのオス.木陰にたくさん止まっていた.尾部付属器も赤みを帯び成熟が進んでいる.

▲マユタテアカネのメス.ノシメ斑があるタイプ.飛び立とうとする瞬間である.

▲マユタテアカネオスの顔面拡大.前回撮影し忘れた.名前の由来の眉斑がある.

まずはマユタテアカネを見つけました.最初はなかなか目につきませんでしたが,1頭見つけると,次々に目につくようになります.もう腹部も赤くなり,出番を待つばかりの状態になっています.そして,目を凝らすと,その中にマイコアカネが混じっているのを見つけました.メスの方が多く見つかりました.生き残っていたのですね.上の写真の池のヒメガマの群落内で繁殖活動を行うのでしょうね.

▲マイコアカネのオス.まだ若干成熟に達していない感じである.

▲マイコアカネのメス.

▲マイコアカネのメスには,小さな眉斑がある.

さらに木の枝の先端に止まっているトンボはいないかと探してみましたら,リスアカネが止まっていました.リスアカネとナニワトンボはセットみたいなものですから,ナニワトンボもいる可能性があると期待感が膨らみました.

▲リスアカネのオス.

▲リスアカネの顔面拡大.特に特徴的な模様はない.

その後小径を山の方に向かって歩いて行きました.池の横を通ると,必ずと言って良いくらいマユタテアカネがいました.しかし,ナニワトンボは見つかりませんでした.

▲小径の木漏れ日の中で,腹部挙上姿勢をしているマユタテアカネのオス.

池のそばの小径での観察を終え,川の方に下りてみました.川は濁っていて,何もトンボが飛んでいません.川のそばの水田にもほとんどトンボの姿がありません.水田は,先日の台風のせいでしょうか,水がたくさんたまっていて,コナギが生え,トンボが好みそうな湿地状態になっています.稲はもちろん植えられていますが,それでもこんな環境でもトンボがまったくいないというのは,本当に水田地帯はトンボのすみかでなくなったと感じます.そんなことを考えながら歩いていると,やっとのことで,シオカラトンボを4頭ほど見ました.

▲イネの葉に止まるシオカラトンボ.水田地帯ではトンボの数が本当に少ない.

川の方は,本流に流れ込む小さな流れにハグロトンボが2頭ほど飛んでいるのを見ただけでした.大水が流れたようで,川底が荒れていて,こういった支流に残されたツルヨシの群落にハグロトンボがしがみついているのでしょう.川の堤防の上にシオカラトンボがいました.

▲川のそばの小径に止まっているシオカラトンボのメス.

今日は,全部で14,535歩,約10km歩きました.家の近くにもまだトンボはたくましく生き残っていることを再確認しました.マイコアカネがいたのがよかったです.