新 トンボ歳時記
No.499. 続 ヤブヤンマの観察.2015.8.3.

夏の休暇を取って,今日もまたヤブヤンマの観察に出かけました.暑さのせいでしょうか,水溜りの水がどんどん減って,去年のように消滅してしまいそうな予感がしましたので,水のある間に攻めることにしました.また今年はオスがよく飛んでいて,メスも複数が産卵に来るほど個体数が多いようですので,「チャンスは徹底的に攻める」の鉄則も貫くことにしました.

11:00頃に現地に入り,腰を下ろしますと,さっそくオスが入ってきました.本当に丹念にメスを探します.ほどなくメスが産卵に入ってきました.広角レンズのビデオカメラで寄ってみましたが,やはり10cm近くに寄ると逃げてしまいます.とりあえず記録ということで,写真を撮っておきました.

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しばらくしますとオスがこのメスを捕まえました.メスは相当嫌がっているようで,腹部を下に曲げオスが連れていこうとするのに逆らって飛んでいました.まるで子供の手を引く母親に,行きたくない駄々っ子が足を踏ん張ってブレーキをかけているような感じです.やがて,うまく飛べないのかこのペアは近くの木の枝の中に落ち込むように止まりました.

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そしてその後オスはあきらめたのかメスを放しましたが,産卵を邪魔されたのが相当嫌だったのでしょう,メスは怒りに任せてオスの腹部先端に噛みつきました.オスはあわてて梢の葉に止まりました.ここはビデオでご覧いただきましょう.




 いやはやかわいそうな♂ですね.メスを捕まえるのも命がけというところでしょうか.交尾を嫌がるメスを放したとたんに,オスの腹部先端に噛みついたメスでした.
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どうです.オスの腹部先端はメスの複眼から離れて,メスの口の中に入っているではありませんか.メスは肢でしっかりとオスの先端をつかんでいますね.いやはや,オスは産卵しているメスにつかみかかり,上に乗り,強引にタンデムになって連れていくというふうに,これまでオスの優位性ばかりが目についていましたが,なんと,メスも黙っていないということが分かりました.お転婆なメスに当たるとオスはひどい目にあいますね.メスに飛びかかるオスも命がけでなんでしょうね.

今年はオスの個体数が多いのでこういった面白い観察ができました.やはり,チャンスは徹底的に攻めるのが大切です.さて,その後,メスは2回産卵にやってきました.いずれもビデオで長時間撮影することができ,所期の目的を達成しました.ビデオから切り出した2頭のメスの写真を載せておきます.

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最後は時間がありましたらビデオをご覧ください.ただただ8分以上産卵を続けるメスが映っているだけです.最後まで見ることがでた方は,相当に我慢強いか,トンボが好きなんでしょうね.それでは今日はこれまで.




 ただただヤブヤンマの産卵がく続8分間のビデオです.2頭のヤブヤンマが登場します.最初の2分ほどの間登場するのはやや若い個体です.後半は老熟した個体で,額の部分にけがをしているようです.オスに激しくやられたのかもしれません.ヤブヤンマは,産卵中,常に翅を小刻みに震わせていますが,このビデオを最後の一瞬,その動きが止まります.オスが近づいてきたのです.メスはオスの気配を感じると翅の動きを止めます.このメスはすぐに飛び立って逃げようとしましたが,オスにつかまって連れていかれました.
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