新 トンボ歳時記
No.401. ヒメアカネの観察.2012.10.8.

今日はまず昨日のオオキトンボの池に行ってみました.チャンスがあるときは徹底的にの格言通りです.が,今日行くと,すでに池には水が入り始めていて,あれほどあった泥岸がほとんどなくなっていました.9時ころの快晴状態にもかかわらず,オオキトンボはオスさえ飛んでいませんでした.やはりチャンスは本当に逃してはいけませんね.昨日面倒がらずに覗いてよかったです.

さて,秋まっ盛りの今日,オオキトンボがだめなようなので,すぐにヒメアカネの観察に変更することにしました.昨年も出かけた加東市の産地です.

ヒメアカネは,湿地内に,30頭ほど飛んでいました.ヒメアカネの繁殖活動は遅いので,待つこと約1時間,やっと交尾態のペアが飛び始めました.1つ見ると,次々見かけるようになるから不思議です.1ペアに的を絞って,交尾が終わるのを待ちました.

しかし,去年と同じで,交尾が終わったら,メスは産卵を始めず,次々と樹上へ上がっていきます.おもしろい習性ですね.オスはどこでメスを見つけてくるのか分かりませんが,結局まだ少し産卵には早いのでしょうね.的を絞って観察していた1ペアは,交尾が終わってもしばらくそのままじっとしていました.その後メスを放し,オスはメスに産卵を促しましたが,このペアも結局メスが樹上に上がっていってしまいました.

湿地にはミドリヒョウモンの老熟したメスがやって来ました.おそらく暗色型といわれる個体で,他のヒョウモンチョウと違って非常によく目立ちました.これを今日のゲストにします.

秋のアカトンボは,繁殖時間帯がどの種もほとんど同じなので,同じ場所で複数の種に出会わない限り,1日1種になってしまいます.

帰り道がてら,田んぼの電気柵に止まっているトンボなどを見ながら,駐車場まで移動しました.車の横付け観察はいいものですがたまには歩かなければ,ということで,最近は駐車場に止めて歩いて観察に出かけることが多くなっています.

普通種ですがメスがやたら目につきました.このほかにノシメトンボのメスもいましたね.でも本当にトンボの数が少ないのには驚きです.上の写真は,15分ほど歩いた道ばたの,手に届く範囲のトンボのすべてです.まさに「沈黙の秋」ですね.機械化による田園地帯の乾燥化と薬剤の影響でしょうかねぇ.もう田んぼはトンボのすみかではないようです.

今日はこれでおしまい.