トンボ歳時記
No.076. ヒメサナエ成虫出現. 2009.6.27.

以前採集してきたヒメサナエの幼虫が,先日自宅羽化しました.そこで,そろそろ成虫が活動をはじめているだろうということで,産地へ出かけてきました.まだヒメサナエは未熟だろうと思われるので,朝の摂食時間帯をねらって,川のそばにある草地を探索することにしました.

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▲産地の川のようす.

最初にお目にかかったのは,アジアサナエ属のメスでしたが,写真で確認すると,どうもヤマサナエのように見えます.腹部横の黄色の斑紋がキイロサナエより後方まで伸び,長い.残念ながらそばに寄れなかったので,確認はできませんでした.また少し歩くと,小さなサナエが舞い降りてきました.翅がぼろぼろになったダビドサナエでした.

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▲左:ダビドサナエ,右:アジアサナエ属のメス.多分ヤマサナエ.

どんどん上流に進み,樹林の際まで登っていくと,川から小さなサナエが飛び上がりました.それがしばらくすると葉上に下りてきました.腹部横の独特の黄色の斑紋が見え,ヒメサナエのメスであることが分かりました.

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▲ヒメサナエのメス.まだかなり若い感じがする個体である.

少し日が射し始めてからは,1匹,また1匹と小さなサナエトンボが見つかりはじめました.結局,ヒメサナエ,オジロサナエなどを数頭確認することができました.

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▲ヒメサナエのオス.もう川にでて縄張りを形成している.

川に戻ると,オジロサナエの羽化や,コオニヤンマの産卵なども観察でき,同時に,淡色部が薄緑色をした成熟オスが,石の上に止まりました.もう繁殖活動をはじめているようです.

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▲左:オジロサナエオス,右:コオニヤンマの産卵.

1時間ほどの間でしたが,春のサナエトンボから夏のサナエトンボまでが入りまじった,ある山間部の上流域の風景でした.