トンボ歳時記
No.075. オオキトンボの羽化. 2009.6.21.

今日は朝から雨が降っていて,完全休養と決め込んでいましたが,午後から急に天気が回復して,青空とまぶしい太陽が出てきました.こうなるともうじっとしていられず,昨年遅くまでオオキトンボがいた池に出かけてきました.

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▲昨年オオキトンボが遅くまでいた池.

あまり期待もせず,何かいればいいかくらいの軽い気持ちで,カメラだけ提げて自転車で出かけました.前にも言いましたが,当たるときは本当にいとも簡単に当たります.オオキトンボの処女飛行に遭遇しました.見かけた個体数は6頭と,十分な数です.見つからないのはこの数倍以上はいますから...

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▲池の方から飛んできて草むらに止まったオオキトンボのオス.

水辺に入る道具を持ち合わせていなかったために,羽化そのものや羽化殻の確認はできませんでしたが,池の方から草むらに飛んでくる個体は,明らかにこの池で羽化していることを物語っています.神戸市内でまだ絶滅危惧種(CR+EN)のオオキトンボが羽化していることは,とてもすばらしいことです.

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▲ヨシの間で止まって休んでいるオオキトンボのメス.

何枚もカメラにおさめましたが,あまり近づいて驚かせると,一気に天高く舞い上がるように飛び去ってしまいます.どこへ行ってしまうか見当もつきません.姿が見えなくなるまで高く高く上がっているように見えます.

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▲左:飛び上がる前のメス.右:一気に天高く舞い上がっていくオオキトンボ.

この池は平地のど真ん中にあり,近くには樹林も何もありません.ですから,一気に飛び上がり,どこか安全な休み場所を探すのでしょう.オオキトンボは羽化したその日から,分散して孤独に暮らすトンボのようです.

さて,池にはこれ以外にもいくらかのトンボたちが飛び交っていました.

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▲上左から順に,コフキトンボ,シオカラトンボ,アジアイトトンボ未熟メス,同オス

家から自転車で20分程度の,ほんの午後のお散歩でしたが,近くでも大切なトンボ情報が得られることをまた感じさせられました.足下を大切に観察を続けていきたいものです.