兵庫県の幼虫ガイド
H024. ムカシトンボ Epiophlebia superstes
ムカシトンボ終齢幼虫
<特ちょう>
 翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)は糸のように細いです.体は固く,表面はざらざらした感じです.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第7−9節にあります.いずれも先がまるくとげのようには見えません.背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.小さな幼虫は,写真2のように,白黒のまだらもようになっているときがあります.終齢幼虫になると,ほとんどのものが,写真3のように茶色っぽい色や黒っぽい色になります.でも,終齢幼虫に脱皮(だっぴ)する一つ前の亜終齢幼虫までは,写真1のように,黒っぽいものや,黄色っぽいものや,うす茶色のものがいます.

ムカシトンボのちいさなようちゅう ムカシトンボのしゅうれいようちゅう
写真2.小さな幼虫.白黒のまだらもようになっています. 写真3.終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)の全形図.


<似た幼虫との区別>
 サナエトンボのなかまの幼虫と見まちがえるかもしれません.しかし,ムカシトンボは触角が糸のように細いので,区別ができます.腹部がまっすぐにのびた,このような形の幼虫は,ほかにはいません.


<さがす場所のヒント>
 ムカシトンボは,川の,それもうんと上流に住んでいます.木々におおわれた林の中を流れる,細くて,水量の多い川が好みです.幼虫は,5年以上かかって親になるといわれています.ですから,水がしょっちゅうなくなってしまうようなところにはいません.わき水がたくさん出ていて,一年中水がたっぷりと流れているところが,もっとも適しています.成虫は,写真4のように,流れのすぐ横の岸に生えている,フキなどの植物に卵を産みつけます.ですから,同じ上流でも,流れのそばにたくさんの植物が生えているようなところに多く集まっています.

ムカシトンボの産卵場所.
写真4.流れのすぐ横に生えているフキに産卵しているメス.卵からかえった幼虫は,流れに落ちて幼虫としての生活を始めます.