デジタルトンボ図鑑
スナアカネ Sympetrum fonscolombii (Selys, 1840)
スナアカネ:♂,兵庫県小野市.♀,
♂,2018.10.17../ スケール:1.0cm. 175% on 150ppi.
<分類学的位置>
 トンボ科 Family Libellulidae
 アカネ属 Genus Sympetrum

<分布> 
 村木・森岡(2007)によれば,青森,山形,栃木,東京,神奈川,千葉,静岡,石川,富山,福井,京都,三重,兵庫,高知,福岡,長崎,大分,熊本,宮崎,鹿児島,沖縄などの都府県で記録がある.タイリクアキアカネ Sympetrum depressiusculum やオナガアカネ Sympetrum cordulegaster のように日本海側に記録が偏るということはなく,太平洋側の各都県でも多くの記録がある.兵庫県では2002年10月13日に採集されたのが最初(東,2005)で,続いて2002年10月18日たつの市(貝藤,2005)で,2004年11月10日に神戸市長田区(小田,2008)で発見された.なお,目撃記録としては,それ以前に西宮市甲子園浜で1998年11月15日(山本,2000)というのがある.

<特記事項>
 杉村ら(1999)は,本種は大陸からの飛来であると考えているが,タイリクアキアカネなどと違って,太平洋側で採集される例も多い.これは,海外での分布がアフリカ,南ヨーロッパ,インドなどで,むしろ南方のアカトンボであるためであろう.最初の国内での発見が宮古島であったことを考えればうなずける.1998年には鹿児島県で羽化が確認されたが,その後世代を繰り返しているという報告はない.かつては,飛来種としても非常に珍しい種であったが,最近よく記録が出ているように感じられる.筆者は,以前はアキアカネ Sympetrum frequens の中に紛れてほとんど見つからなかったのが,アキアカネの極端な減少によって相対的にこれらのトンボが目立つようになったのではないかと考えているが,みなさんはどうだろうか.

東 輝弥,2005.兵庫県でスナアカネを採る.Sympetrum hyogo, 9:26.
小田 順彦,2008.神戸市内初記録のスナアカネを撮影.Sympetrum Hyogo 10: 13-14.
貝藤和宏,2005.スナアカネの兵庫県揖保川町での採集記録.Sympetrum hyogo, 9:27.
村木明雄・森岡康之,2007.京都北部のスナアカネの採集記録.Aeschna (43):37-38.
山本哲央,2000.兵庫県でスナアカネを目撃.Aeschna (37):32.


<生体写真>
オスの生体写真