続 トンボ歳時記
No.590. クロサナエ・ヒメクロサナエの観察.2018.5.24.

一昨日のリベンジ,クロサナエとヒメクロサナエの観察に行くことにしました.昨日は雨が降って,一昨日は強風,2日間産卵をストップされたメスたちは,穏やかな今日の日に必ず出てくる,という経験則に基づき,今日は成果が出るだろうと連続の観察行を行いました.

現地入りしたのは8:30.時間的に早いのは分かっていますが,トンボが出てくる前から観察するのが楽しみでもあります.どんな感じで最初の出会いがあるか,ということなど想像しながら待ちました.ひんやりしていた林内の空気が少し緩んだころ,9:52,ヒメクロサナエのメスが降りてきました.ただし,産卵ではないようです.葉の上に止まっています.近づくと敏感に察知し,樹上へ逃げました.

▲ヒメクロサナエのメス.今日の観察の幕開けを知らせるように,9:52,一番に降りてきた.

これが今日の最初の出会い.オスより先にメスを見ました.過去の観察例からは,10:00を過ぎたころから産卵が始まります.10:06.クロサナエのオスが降りてきました.

▲クロサナエのオス.

例年ですとクロサナエのオスは間欠的に降りてきて姿を見せるのですが,きょうはこれ1回だけでした.ちょっとオスのクロサナエ君サボっていますね.でも,これで,いよいよトンボに動きが出てきたという感じです.10:15,ヒメクロサナエのメスが降りてきて,産卵を始めました.幸先いいスタートです.

▲ヒメクロサナエの産卵.この位置からしか撮れないような隅っこで産卵した.

ヒメクロサナエのメスは,このメスを含めて,6回私の前に現れました.でも,うち3回は通過しただけ,1回は足下の地面で産卵の格好をしたと思ったらすぐに飛び去りました.残りの1回は産卵をしましたが,上から草が覆った岩の隙間に入り込んで産卵を始め,まったく外から姿が見えない状態でした.草をのけると,もちろん,飛び去りました.ということで,姿は結構見ましたが,記録は上の1つだけで終わりました.

▲11:36,ちょっと遅い気もしたが,やっと,例年のようにオスが私の横に降りてきた.

▲私が待っている間に,降りてきては飛び上がりを繰り返したオス.同一個体の可能性もある.

▲ヒメクロサナエのオスの顔面アップ.今日最後に降りてきたオス.14:35.

オスのヒメクロサナエは,午前中ほとんど降りてきませんでした.例年ですと10:00ころにはあちこちの,木漏れ日の当たる葉上に止まっている姿が見られるのですが,今日はそれがありません.今年はヒメクロサナエの個体数が少ないような感じもします.上の写真は,11:36に最初に降りてきて,その後,帰る少し前の14:35までに,何度も降りてきては飛び去るの繰り返しを撮影したものです.全部,私が産卵を待っているポイントに降りてきています.つまり私は座っていて,来たものを,よっこらしょ,と撮影.やはりオスはメスが降りてくるところをよく知っています.

クロサナエが最初に産卵に来たのは11:23でした.こいつは本当に足下に産卵に来ました.長靴の先20cmほどのところで産卵を始めました.ですから,最初は上からの見下ろしポーズになります.こちらが後ずさりしての撮影です.普通は近づくのに…

▲クロサナエ.11:23,本日1回目の産卵.本当に足下で産卵した.人の陰を好んでいるように思える.

まあそういうことですので,産卵に入ってから完全に終わるまでずっと撮り続けることができました.11:23’02″に最初のコマを撮影し,11:24’00″に最後のコマを撮っていますので,1分ほどの産卵時間だったことが分かります.クロサナエの産卵は続きました.次にクロサナエが産卵に来たのは,12:12でした.

▲クロサナエ,12:12,今日2回目の産卵.2枚目は卵が落ちているのが分かる.

▲産卵するクロサナエの顔.今年は顔アップシリーズで攻めています.

だいたい12:00前後によくやってくるのですが,今日もその通りになっています.このあと12:35くらいにもう一度産卵に来ましたが,これは私が産卵に入ったのを完全に見落としていて,見つけた途端産卵を終えて,飛び去ってしまいました.クロサナエは今日はこの3回だけでした.

今日は15:15に観察を終了しました.途中,ちょっと抜けて,ヒラサナエを見に行きました.こちらは,もぐもぐタイム,交尾タイムでした.産卵は見ることができませんでした.

▲ヒラサナエメスのもぐもぐタイム.

▲ヒラサナエの交尾タイム.

今日もムカシトンボがオス,メス1頭ずつ飛ぶのを見ました.ただ,それっきりで,ムカシトンボはもうシーズン終了の感が強かったです.