トンボ観察記
No.531. 真夏のトンボたち その四 オナガサナエ.2016.8.9-10.

夏の定番,オナガサナエの観察に,今年も出かけてきました.毎年,20種類くらいのトンボは,同じ場所へ観察に出かけています.そして今年も相変わらずであることを確認して安心するという感じです.でもこうやって観察していくと,ある年突然目的のトンボの姿が消えてなくなることがあるのです.オナガサナエは今年も健在でした.

さて,オナガサナエは,早朝と夕刻に産卵活動が活発だと言われています.この二日間とも,朝ねらいで行きました.現地に入ったのは9日が8時前,10日が7時30分でした.早朝とは言えませんが,早朝の名残くらいには出会えるでしょう.朝の8時も過ぎると太陽は川面を照らし,もう夏の朝の気配が十分です.よく夏の朝曇りといいまして,ここ2,3年は,オナガサナエの観察時間帯に曇っていることが多かったのですが,今年の夏は朝から太陽がさんさんと降り注ぐ青空が続いています.オスは早朝から出てきています.メスが早朝に来るのを知っているのでしょうね.

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0810-003▲早朝より出勤してきているオスたち.太陽がまだ低く朝の感じである.

10日の朝は,7時30分に着いたとたんにメスが続けて産卵に入りました.これはビデオに収めました.まだ太陽は低く,川の半分くらいしか日が当たっていません.その川の日の射す側で産卵が行われました.こちらは最後に紹介します.9日も10日も,メスは退屈しないほどに産卵に訪れました.2日間で20頭たらずの産卵を見ました.

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0810-006▲次々に産卵にやってくるメスたち.オレンジ色の卵塊が落ちていく.

そんな中でアクシデントが.産卵が終わるとメスは2,3回打水して飛び去るのが普通です.今年は川にアオミドロが繁茂していて,打水したとき,メスがアオミドロに引っかかって水面でバタバタしたのです.

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0810-013▲藻に引っかかりバタバタと暴れるメス.中段はあきらめたような顔.

しばらくは観察していましたが,これ,最後は捕まえて,アオミドロをほぐしてやり,逃がしてあげました.こんな感じで事故死するメスもいるのですね.去年だったか,水面に浮かぶメスの食害を受けた死体を見ました.これはきっとこんな感じで水面に落ちたメスが,アメンボなどに襲われたのでしょうね.

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0810-010▲まだまだ産卵は続いている.

産卵は,まだまだ続きました.でも2日間とも9時半を過ぎたころには一段落.少し間が空くようになりました.今までの観察では,正午を過ぎても産卵に来ていました.しかし,30度越えの予報で,日向に何時間もいるのは熱中症の危険もあり,このあたりで引き上げました.最後にビデオを紹介しておきます.YouTubeからの配信です.