トンボ観察記
No.524. モートンイトトンボの観察.2016.5.28, 6.26.

モートンイトトンボの交尾は早朝に行われます.早朝といっても8時ころまでは交尾をしていますので,通常の観察時間帯に交尾を見ることができます.5月28日,天気があまり芳しくなかったのですが,交尾にはあまり関係ありません.やや暗い感じなので9時を過ぎても交尾をしていました.

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0528-001▲モートンイトトンボの交尾.朝9時過ぎ.曇天.

モートンイトトンボにとっては5月下旬はまだまだシーズン早めということで,未熟なメスもたくさんいました.

0528-003▲モートンイトトンボの未熟なメス.

この日は交尾を観察した後,別のトンボ探索に行きましたのでこれでおしまいにしました.次は一か月後に産卵を見に行きました.

今まであちこちでモートンイトトンボを見てきましたが,産卵にはなかなか出会えませんでした.最近いろいろなトンボのメスで,産卵時に非常に敏感になる種類を見てきましたので,モートンイトトンボもその類ではないかと思い,今日6月26日は,非常に慎重に,モートンイトトンボのいる湿地に入っていくことにしました.午後2時前です.天気は曇りの予報を裏切って晴天! 天気予報もいい方に裏切られると責める気がしませんね(笑).

0626-001▲モートンイトトンボの成熟オス.

オスに混じって,成熟したメスも湿地の中に止まっていました.オスもメスも,湿地の草の表面をつつくような動作をします.これは草の表面についている小さな昆虫を捕っているのでしょうか? そんなメスをじっと観察していると,スッと草に降りて産卵を始めました.長い間見たかった産卵を見ると,緊張するものです.最初に撮った写真が下の写真でした.

0626-007▲モートンイトトンボの水面上の植物組織への産卵.14時ころ.これが一番イメージ通りの産卵姿勢.

写真を撮る位置を変えようと,湿地の中を動くと,水面に波が立ち,草が揺れます.すると,気配を感じてか,産卵を止めて,またいつものように草に止まります.

0626-008▲産卵を止めて飛び立ち,草に止まったメス.

でも,待てば再び産卵をすることが分かってからは,根くらべということになりました.あらかじめ光線のいい位置に陣取り,産卵を始めても動かないで済むようにし,待つことにしました.そうすると,産卵したり,摂食したりと,モートンイトトンボのメスは,産卵に集中するというより,産卵もしながら食べもするという感じの行動を見せてくれました.

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0626-005▲モートンイトトンボの産卵.水面より高い位置へも産卵する.

モートンイトトンボは,上の写真のように,水面より高い位置にも産卵することがあることを知りました.もちろん,下のように,水面より低い位置にも産卵します.

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0626-003▲モートンイトトンボの産卵.水面より低い位置への産卵.

でも,一番イメージ通りなのは,下のように水面の位置に産卵する姿ですね.

0626-006▲モートンイトトンボの産卵.水面の位置への産卵.

ということで,光の条件も良好で,晴天下のモートンイトトンボの写真を撮ることができました.めでたしめでたし.