新 トンボ歳時記
No.363. 雨の中の幼虫調査 2012.6.16.

今日は予報では大雨.コシボソヤンマの終齢幼虫を見ておきたいので,これから雨が降ると増水し,川に入れなくなってしまう.ということで,まだ増水する前にと,コシボソヤンマの幼虫を探しに行きました.

現地に着くと,一時的に雨が上がった状態で,幼虫採りは楽勝という感じでした.川もまだ増水していません.グンバイトンボも欲しかったのですが,それは採れず,コシボソヤンマが2頭採れました.コシボソヤンマの終齢幼虫はこの時期しか採れないのですが,この時期は増水することが多く,あまり川に入れないので,結局パスしてしまうことが多いのです.川にはアオハダトンボもたくさんいて,今が盛りという感じでした.

さて,この時期の幼虫としては,あとアカトンボ類がいくつか見たいのです.そこでネキトンボに焦点を当てて,探しに行きました.現地では薄日が射すくらいになって,道路も乾いている状態でした.ヤマサナエも飛び出し,アサヒナカワトンボもタンデムになっていました.このアサヒナカワトンボのオスは移精行動に移ろうとするのですが,なかなかそれができず,いつまで経っても中途半端な形になっていました.交尾が始まれば写真を撮ろうかと考えましたが,いつまで経ってもらちがあかず,結局見捨ててしまいました.

目的のネキトンボはいませんでしたが,オオルリボシヤンマが採れました.ギンヤンマ「属」の幼虫も多数いました.これは翅芽が膨らんですぐに羽化しそうな個体を持ち帰りました.すると,夜,羽化を始めていました.所用があったので,またもや脱皮する瞬間は撮影できませんでした.さらに腹部を抜いて反転する瞬間も,背景のチェンジをしていたために,撮影を逃しました.翅が伸びて腹部がまっすぐになるところまで観察を続けましたが,ヤンマの羽化は翅が伸びてからが長いので,朝起きて翅が開いたところを見ることにしました.すると,....

なんと,クロスジギンヤンマだったのです.この時期だからてっきりギンヤンマだと思い,よく確かめもせずに撮影を続けていましたが,事実は小説,いや常識より奇なり,ですね.もうそろそろクロスジギンヤンマも姿を消すころですのに,こんな時期に羽化する個体があるなんてね.たくさん採れたギンヤンマ属の幼虫もよく確かめておくべきでした.思いこみが事実を見失わせてしまうんですね.もっと慎重にならなくちゃ.

ということで,今日は天気が悪かったですが,アオハダトンボは元気に飛んでいたし,まあ,雨でもトンボはどこかに隠れているだけで,いないわけではないので,フィールドに出るのも悪くはありません.