トンボ歳時記
No.246. 兵庫県北部へトンボの羽化を確認に. 2011.4.30.

今日は予報では晴でしたが,生憎の曇り空.まあ気温は高くなりそうなので,兵庫県北部へ羽化調査に出かけてみました.

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▲香美町の川の上流域.ムカシトンボがいそうな雰囲気.

まず去年ムカシヤンマを見た谷へ入ってみました.でもムカシヤンマはおろかカワトンボの類もまったく見られませんでした.まだトンボは早いようです.上流へ入ってみるとムカシトンボがいそうな雰囲気があったので,網を入れてみました.するとすぐにムカシトンボ幼虫が採れました.小さなツートンカラーの幼虫2頭と,亜終齢らしい大きさの幼虫2頭です.

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▲ムカシトンボの幼虫.上は若齢で,ツートンカラーをしている.

これ以外にはミルンヤンマが1頭入りました.しかしその他は全くトンボが網に入りませんでした.カワゲラなどはたくさん入るので川は健康ですが,トンボの少ない川です.

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▲ミルンヤンマの幼虫.


そこで次にヒラサナエの羽化を見に行くことにしました.一昨年は5月5日にはもう未熟虫がたくさん飛んでいましたから,うまく行けば羽化のシーンに出会えるかもしれないという期待です.でも全くその気配はありませんでした.そこで幼虫をすくおうと頑張ってみました.40分くらいすくったのですが全く網に入りません.諦めかけた最後の一網に3頭の幼虫が入りました.

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▲ヒラサナエの幼虫.後頭角(白矢印)の部分に突起があるのが特徴である.

持ち帰るのは1頭だけにし,残りの2頭を水の中に逃がしてやりました.するとすぐに2頭とも水から出て岸に上陸してしまいました.羽化するのかと色めきましたが,そのままじっとしています.天候も悪く気温も下がり気味でした.しばらく待ちましたが羽化は始めませんでした.

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▲岸に上がるヒラサナエの幼虫.水中に逃がすとすぐに自分で岸に上がった.

今回2頭とも陸に上がったということで,ヒラサナエの幼虫は羽化が近くなると,岸に上がる性質でもあるのでしょうか? そしてこういうことがあるので,幼虫が全く採れなかったのでしょうか? 去年も羽化期前後の5月3日に来て幼虫をすくいましたが,同様に全く採れませんでした.対して3年前には羽化期より少し前の4月12日に来て幼虫をすくっていて,このときは簡単にたくさんの幼虫が網に入りました.そういえば,今日のこの最後の一網は,水中から陸地にかかるまで網を引いたような気がします.この3年間の結果には興味がもたれます.調べてみる価値のあるヒラサナエの生態かも知れませんね.

ということで,今日は全く成虫を見ない一日でした.まあその分幼虫で楽しめました.