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神戸ブランドのオオイトトンボを求めて /2010.9.4., a.m.-p.m.

いやはや本当に暑さがおさまらない日が続いています.信じられないことですが,クマゼミの朝の集団鳴きがまだ続いています(正確に言うと9月3日の7時20分神戸市西区押部谷町木幡で確認).クマゼミといえば,神戸では,だいたいお盆を過ぎると,散発的に鳴くことはあっても,朝の集団鳴きは聞こえなくなってきます.本当に生物季節が変化し始めていることを実感します.

さて,そんな暑い中,頑張っている神戸のトンボたちを見に行ってきました.今日のねらいはオオイトトンボです.私の知っているオオイトトンボの池は,ついに放棄されて,湿地化しました.いまではオオイトトンボが住める状態ではなくなり,その姿が消えています.神戸市のRDBではCランクになっています.どこかにまだ生息地があるはずと信じて,それを探しに,北区の池を14ほど回ってきました.

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▲一番上:放棄されて湿地化したオオイトトンボの池(□は2006年撮影の写真).
 以下(1)~(14)まで,本日訪れた池.

かつて記録のあった地域の周辺の池を回ったのですが,(1)にクロイトトンボがいただけで,あとは(10)にオオイトトンボらしい個体がいましたが確認はできませんでした.一番トンボが多かったのは(7)の池でした.ただこの池はあまりに深く広く,中央を飛ぶトンボには近づけません.チョウトンボが多数に,ギンヤンマ,コシアキトンボなどが飛んでいました.ガマが生えており,春にヨツボシトンボが飛ぶ可能性があります.神戸市ではヨツボシトンボの産地もほとんど消えているので,この池の調査を春におこなう必要がありそうです.

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▲各池で見られたトンボの一部.(番号)は池の番号.
 上:クロイトトンボのオス,中左:オオシオカラトンボのオス.
 中右:水面を飛翔するオオイトトンボらしい色彩のイトトンボ.
 下:今日唯一のアカネ属,リスアカネ.

ところで(10)の池で見られたイトトンボは,水面ぎりぎりのところを,ホバリングを交えながら飛んでいました(上の写真).池の中央部で,落ち葉か何かが浮かんでいるところに止まり,全く岸辺に近寄りませんでした.写真の個体とはちがいますが,岸辺近くに止まっているクロイトトンボ属がいたので採集して確認してみると,これはムスジイトトンボでした(ムスジイトトンボはこんな樹林に囲まれた池にも出現するのですね.平地のトンボという印象は最近はなくなりました).写真のクロイトトンボ属は,採集したムスジイトトンボと色彩が微妙にちがうような気がするので,まだオオイトトンボという線を捨てきれないでいます.なお,ムスジイトトンボは神戸市北区では初記録になります.

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▲(6)番の池とウチワヤンマ.ここが一番おもしろそうだったが...

さて,今日回った池で一番おもしろそうだったのが,(6)番の池でした.池に降りると,まだウチワヤンマが元気に飛んでいました.もちろんタイワンウチワヤンマもいました.あとは,シオカラトンボ,オオヤマトンボ,ギンヤンマといった面々でした.一番上の池の写真では,(6)の池は,対岸の樹林に覆われた部分を掲げています.ナニワトンボがいそうだと予想して丹念に探しましたが,ナニワトンボもリスアカネもいませんでした.アカネ属は今日は(9)番の池でリスアカネを1頭見ただけでした.


さて,あまりに成果がなかったので,帰りに,普段は通り過ぎてしまう,北区の川を訪れてみました.ここは一見きれいな川に見えるのですが,水に入ると,アオミドロがたくさん生えていて,富栄養化が感じられるところです.

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▲北区の川.
 中左:ギンヤンマのオス,中右:アジアイトトンボのオス.
 下:ハグロトンボのオスの闘争行動.

うまくいけばオナガサナエなどを発見できないかと考えたりしましたが,やはり現実はそうはいきません.ウスバキトンボにギンヤンマ,そしてアジアイトトンボと,池沼性の種が川面を飛んでいます.ハグロトンボは結構たくさんいて,この暑い中(13:30ころ),元気に繁殖活動を展開していました.

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▲ハグロトンボの交尾や産卵.

ここのハグロトンボは敏感で,産卵メスには全く近づくことができませんでした.遠くから撮っただけでした.

ここらあたりでもう倒れそう(笑)になってきましたので,観察はやめて帰宅することにしました.地道な調査活動は,成果に乏しい日がほとんどです.