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エゾトンボ類とミヤマカワトンボの探索 /2010.8.4., a.m.-p.m.

今日から夏休みを取りました.早速,神戸ブランドのエゾトンボ類とミヤマカワトンボを探しに,六甲山へ行きました.ミヤマカワトンボがメインのターゲットで,これは産卵を見たいので時間的にお昼ころ着くように,まず朝のうちは六甲山のいくつかの池を回ってみました.

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▲最初に寄った池とそこにいたトンボたち.
 上:池の風景.2段目:未熟なマユタテアカネのメス(左)とオス(右).
 3段目:オオアオイトトンボの羽化(左)とクロイトトンボ(右)
 下:モノサシトンボの交尾.

最初は六甲山にあるタカネトンボがいそうな池を回ることにしました.まず最初の池では,雰囲気はあったのですが,エゾトンボ類は全く姿を見せず,いたのは写真のようなトンボと,クロスジギンヤンマのオスがパトロールしていました.六甲山のクロスジギンヤンマは,このように真夏まで飛んでいます.

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▲二つ目(上),三つ目(下)の池と,二つ目の池にいたネキトンボのオス(中).

続いて,樹林が隣接した池を二つ回ってみました.いたのは二つ目の池ではネキトンボだけ,三つ目の池ではネキトンボ,ギンヤンマ,モノサシトンボ,オオシオカラトンボといった面々でした.ネキトンボは産卵をしていましたが,オオクチバスがジャンプしてひとのみにしてしまいました.こんな高い山の池にまでオオクチバスがいて,トンボを食べていると思うと,気分が悪くなりました.

あと,いくつかの池に寄りましたが,ほとんどトンボの姿を見ませんでした.六甲山は本当にトンボが少なくなったように感じます.どこにでもいるのはモノサシトンボだけのような感じです.結局エゾトンボ類は全く姿を見ませんでした.パトロールしているものはおろか,摂食飛翔しているものすらいません.1990年代なら,六甲山を歩けば必ずどこかで姿を見たものですが... エゾトンボ類はどこへ行ったのでしょうか?


さて,エゾトンボ類は「ヌル」でしたが,ミヤマカワトンボならいるだろうと,車を駐車場に止めて,観察地まで片道1.5kmの山道を歩くことにしました.六甲山は車の立ち入りが規制されているところが多く,車で横付けというわけにはいきません.

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▲観察地の川となわばり中のミヤマカワトンボのオス.

ミヤマカワトンボはいつものところにいました.でも数は少なく,オスだけで7,8頭というところでした.これでは産卵など見ることはできないかと思いながらオスの写真を撮っていると,メスが1頭倒木が流れに洗われているところにやってきました.じっとしていてなかなか動こうとしません.これは産卵する気満々とみて,粘ることにしました.しかしなかなか産卵せず,メスはいったん姿を消してしまいました.しばらく待っても帰ってこないので,今日はだめかとあきらめて,片付けをして移動しようと思ったときに,メスが突然産卵に入りました.あわてて,ウェーダーに履きかえ,川に飛び込みましたが,メスはオスに追われて逃げ回る始末.写真を撮るときは,オスって本当に邪魔ですね.

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▲メスが1頭産卵に入ったが,オスに追われて別のところに止まる
 上:繁殖活動が展開された環境.倒木が整理されるとだめになる.
 2段目:止まっているメスに近づこうとするオス.
 3段目左:隙を見てメスは産卵をするが,オスはすぐ後でメスを刺激する.
 3段目右:最初に産卵に入ったところのメス.
 下:オスが近づこうとすると,メスは交尾拒否の姿勢でオスを撃退する.

2頭のオスがこのメスに目をつけていて,メスを追いかけ回しています.メスは止まると微動だにせずオスの関心が薄れるのを待っているようです.しかし,オスは時々メスの後でホバリングして,メスの気を引こうとします.オスがあまりに近づきすぎると,メスは交尾拒否姿勢でオスを撃退します.そんなやりとりをしばらくした後,メスは意を決したように細い倒木の枝に取り付き,産卵を始めました.オスはメスのすぐ前に止まり,腹部先端を反らして白色部を見せ刺激しますが,メスは一度オスと同調的に翅を開いた後は動じる気配もなく,産卵に専念し始めました.オスはやがてあきらめ,飛び去りました.メスはどんどん後ずさりし,はじめから決めていたかのように潜水産卵を始めました.

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▲産卵を始めたメス.
 上の方:産卵を始めためたメスを刺激するオス.
 中の方:潜水産卵に移行する過程.
 下の方:翅も含め完全な潜水状態になって産卵している.

潜水産卵を始めると,木の裏側へ回り込むように移動していき,写真には撮れなくなりました.最期まで見届けようかと思いましたが,今回はここまでにしました.

ミヤマカワトンボの産卵を「この場所」で写真に撮ろうと思いはじめて20年ほど経ちました.やっと願いが叶いました.ミヤマカワトンボはどこにでもいるようなトンボですが,神戸では本当に数が減ってしまいました.ここも何年か先にはだめになってしまうかもしれません.そういえば,今日はオニヤンマの姿を全く見ませんでした.小さな流れに沿って往復3kmも歩けば,1頭くらいは飛んでいるのに出会うはずです.エゾトンボ類,オニヤンマをこの時期に全く見ない六甲山,昔たくさんいたトンボたちは一体どうなっているのでしょうね???.