トンボ歳時記
No.139. フタスジサナエ出現. 2010.4.24.

今週はずっと天気が悪かったのですが,土曜日の今日は朝から晴れ.気温は少し低かったものの,朝ストーブをつけたら室内では11℃ありました.9:00過ぎに家を出て,加古川市までフタスジサナエの羽化を見に行きました.

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▲調査地の加古川の池.

最初はトンボの気配が感じられず,まだかと思いましたが,丹念に水際を見ていると,数個の羽化殻が見つかり,羽化がもう始まっていることが確認できました.そして水辺を歩いていくと,羽化していた個体が飛び立ち,フタスジサナエが羽化の最中であることが分かりました.こうなると元気百倍です.

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▲上左:まず水際で羽化殻を見つけた.
 上右:やっと見つけた羽化しているフタスジサナエ.
 下:水に入って近づくとぱっと翅を広げて警戒した.

池の土手を歩くと,数頭の羽化個体が舞い,「気温が低い日が続いてもやはり4月の20日過ぎにはフタスジサナエは羽化するんだな」と納得しました.今の平均気温は,1987年を境に高くなった,1994年以降の気温を平均したもので,私がトンボを本格的に調べ始めた1980年代の後半に比べると高くなっています.その1980年代後半のころでも20日過ぎには羽化していたわけですから,まあ低温続きでも羽化するのは納得できます.と,1頭だけかなり成熟が進んだ感じのフタスジサナエが横を通り過ぎ,飛び去りました.

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▲池の土手で舞い上がって止まったフタスジサナエたち.

さて,フタスジサナエの羽化が確認できましたので,次は,先週羽化したトラフトンボが池に帰ってきているかどうか,小野市の定点へ見に行くことにしました.


現地に着いたのは11:30ころ.早速長靴に履きかえて池の畔に降りましたが,池は静まりかえっていました.羽化しているトンボがいないかと水の中を歩くと,クロイトトンボが次々に飛び立ちました.

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▲上左:クロイトトンボオス,上右クロイトトンボメス.
 下:ギンヤンマメスの羽化.

上の池では遠くに2頭ほどトンボ科と思われるトンボが樹林の方に飛び去るのを見ました.種名は確認できませんでした.でも,この池から出たのは間違いないので,まだ羽化しているかもしれないと思い,水際を真剣に探してみましたら,ギンヤンマの羽化を見つけました.そういえば野外でのギンヤンマの羽化はあまり見た記憶がありません.自宅で飼育するとたいがい夜中に羽化するので,春早いこの時期でないと日中の羽化が見られないのかもしれません.

ということで,いよいよトンボで水辺がにぎやかになるのも間近という感じになりましたね.


最後に,朝一番に寄った加古郡稲美町の池で採ったセスジイトトンボ(らしい)幼虫の記録をしておきます.これはこのまま飼育し羽化させて種名を確定する予定です.

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▲セスジイトトンボ(らしい)幼虫.