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No.032. 20年ぶりの神戸のトンボ調査 (1) キイロサナエ

拙著「神戸のトンボ」は,約20年前に始めた調査のデータが中心になっています.それから20年後,神戸のトンボたちはどうなっているか,まだ健在か,それとも消えてしまっているか,これからそういった調査を少しずつですが進めていく予定です.さしあたり冬季はサナエトンボを中心とした幼虫調査が妥当なところ.サナエトンボは成虫よりも幼虫の方が姿を確認しやすいからでもあります.

今日はかつてキイロサナエがたくさん見られた北区の川へ出かけてきました.17年前には川底や岸辺に砂がたまり,たくさんのキイロサナエが羽化していたところです.

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▲17年前の河岸のきれいな砂地と羽化するキイロサナエ

しかし上の写真の場所に砂はなく(以前浚渫されてから復活していない),川底や河岸は岩肌がむき出しになっていて,しかも水中にはアオミドロが繁茂しており,底には茶灰色の藻が一面に付着していて,お世辞にもきれいな川という感じではありませんでした.かなり水が富栄養化している印象を受けました.網を入れても生き物はユスリカ程度でトンボの姿はありません.砂泥はアオミドロの枯死体が混じったあまりきれいとはいえない状態でした.

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▲市内下流部.景観は昔と変わらないが底質が悪化している.

かなり上流まで行ってやっと17年前の面影が残っており,そこにはオニヤンマやキイロサナエの幼虫がいました.まあ,かろうじてキイロサナエは生き残っていたということになります.

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▲オニヤンマの幼虫(左)とキイロサナエの幼虫(右)

結論として,下流部は環境が悪化してキイロサナエの生息が厳しい状態であるが,上流部ではまだキイロサナエは生きのびている,といえるでしょう.一つだけ明るい希望は,上流部に下水処理施設が建造されており,これが完成すれば状況が改善されるかもしれません.

神戸のトンボたち/キイロサナエ