兵庫県の幼虫ガイド
H009. ミヤマカワトンボ Calopteryx cornelia
ミヤマカワトンボ終齢幼虫
写真1.ミヤマカワトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長27mm前後.2009.4.19.
<特ちょう>
 ミヤマカワトンボはカワトンボ型の幼虫です.体全体が固い感じです.尾さいの長さは腹部の長さの半分か,それより少し長いくらいです.尾さいは固く,両側の尾さい側さい)はぶ厚く,中央の尾さい中央さい)はうすく板のようです.写真3のように,触角(しょっかく)は第1節がとても長くなっています.写真2のように,若い幼虫でも触角がものすごく目立ちます.


<よく似た幼虫との区別>
 ミヤマカワトンボは,ハグロトンボアオハダトンボととてもよく似ています.しかし,これらとは,大きさがちがいます.写真3のように,ミヤマカワトンボの終齢幼虫では,尾さいをふくめた全長が60mmくらいの大きさがありますが,ハグロトンボアオハダトンボは40mmくらいです.また,触角の第1節が,ハグロトンボアオハダトンボより長くなっています.

ミヤマカワトンボとミヤマカワトンボのびさい ミヤマカワトンボとミヤマカワトンボのひかく
写真2.ミヤマカワトンボの若い幼虫.
触角の第1節がとても長く目立ちます.
 
写真3.ミヤマカワトンボとハグロトンボアオハダトンボとの比かく.
ミヤマカワトンボが,はっきりと大きいのが分かります.
触角の第1節も,ほかの2種より長くなっています.


<さがす場所のヒント>
 ミヤマカワトンボは川の住人です.上流から平地をゆったりとの流れる川にまで,はば広く生活しています.でも,どちらかといえば,林の中を流れる川に多いようです.写真4のように,メスは川にころがっているかれ木に卵を産みつけます.ミヤマカワトンボは,水の中にもぐって産卵することが多く,産卵する姿をあまり見かけないのも特ちょうです.成虫は春から夏にかけて現れます.終齢幼虫は春によく採れますが,夏前でも採れることがあります.幼虫は,川の底にたまっている落ち葉の中などにもぐりこんで,生活しています.

ミヤマカワトンボの産卵場所.
写真4.川に転がっているかれ木に,水中にもぐって産卵しているメス.