トンボ目各部の名称/各部の名称
均翅亜目各部名称の図
不均翅亜目各部名称の図
■各部の名称に関する補足
触角のいろいろ
ミナミカワトンボ科の側腹鰓
■頭部(head):
 触角は多くの種類で7節からなるが,サナエトンボ科では通常4節,ムカシトンボでは5節,その他種類によって6節からなるものがある.サナエトンボ科の触角は第3節が特徴的な形をしており,おおざっぱに種類を見分けるのに役立つ.また第4節は非常に小さく目立たない.カワトンボ科の第1節は非常に長く,触角全体長の半分以上を占めるほどである.触角の基部第1節を柄節(scape),第2節を梗節(pedicel),第3節より先を鞭節(flagellum)とよぶ.不均翅亜目・ムカシトンボ亜目の下唇はムカシトンボ科,ムカシヤンマ科,ヤンマ科,サナエトンボ科ではやや内側に反った板状で頭部の下面に折りたたまれており,オニヤンマ科,トンボ科,エゾトンボ科ではスプーン状で頭部の下面をマスクのように覆っている.均翅亜目の下唇は浅いスプーン状で,どちらかといえば不均翅亜目の後者に近い.なお下唇各部の名称や議論については別ページで扱っている

■胸部(thorax):
 胸部は前胸(prothorax)・中胸(mesothorax)・後胸(metathorax)からなるが,このうち中胸と後胸は合体しており合胸(synthorax)と呼ぶ.3対の肢(脚)は,前肢が前胸から,中肢が中胸から,後肢が後胸から出ており,基部から,基節(coxa),転節(trocanter),腿節,脛節,ふ節と呼ばれる5つの節からできている.さらにふ節は2または3節からなり,先端部に爪がある.翅芽は,前翅芽(fore wing sheath)が中胸に,後翅芽(hind wing sheath)が後胸についている.幼虫や羽化殻では並んだ4枚の翅芽のうち,背面から見て,内下側の2枚が前翅芽で,外上側の2枚が後翅芽である.

■腹部(abdomen):
 腹部は10腹節からなる.腹節の後側縁角から後方に出ている棘が側棘で,背面正中線上にある棘が背棘である.側棘や背棘の形や数や配置は種を見分ける重要な形質であるが,しばしば種内で変異がある.不均翅亜目・ムカシトンボ亜目においては,第10腹節に,肛上片,肛側片,尾毛がある.均翅亜目では中央鰓,側鰓と計3枚の尾鰓,及び尾毛があるが,アオイトトンボ科には尾鰓の基部に肛側片,肛上片がはっきりと見られ,またハナダカトンボ科では中央鰓が発達せず突起になっている.均翅亜目の尾鰓は種を見分ける重要な形質であるが,しばしば取れ,再生したものは正常なものと比べて形態が異なる場合があって,誤同定を犯しやすいので注意が必要である.♂の尾部付属器上には,板状,突起状の,独特の構造物が発達することがあって,ヤンマ科ではこれを male projection と呼んでいる.♀で,成虫が産卵管を持つものは,原産卵管が発達し,外側の1対の節片を原産卵管側片,内側のうち腹面側の1対の節片を原産卵管腹片,背面側の1対の節片を原産卵管内片と呼ぶ.ミナミカワトンボ科の腹部腹面には,側腹鰓(lateral abdominal gills)という糸状の鰓が第2〜8腹節にある.
均翅亜目の尾鰓のいろいろ
■主な参考文献
  1. 朝比奈正二郎,1969.蜻蛉目.日本幼虫図鑑,pp.59-93.,北隆館,東京.
  2. Corbet, P.S., 1999. Dragonflies Behaviour and Ecology of Odonata. Cornell University Press. Ithaca, New York.
  3. 石田勝義,1996.日本産トンボ目幼虫検索図説.北海道大学図書刊行会,札幌.
  4. Norling U., & G. Sahlen, 1997. Odonata, Dragonflies and Damselflies. Aquatic Insects of North Europe - A Taxonomic Handbook, 2, Apollo Books, Denmark.
  5. 杉村光俊・石田省三・小島圭三・石田勝義・青木典司,1999.原色日本トンボ幼虫成虫大図鑑.北海道大学図書刊行会,札幌.
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