続 トンボ歳時記
No.579. オグマサナエの探索.2018.5.4.

コサナエ属は春の象徴です.あとオグマサナエがうまく観察できません.ときどきオスに出会うだけの状態です.そこで今日は,オグマサナエだけが見られる場所へ出かけて,うまくいけば産卵する場所を見つけようと考えました.

▲今日オグマサナエの観察場所として選んだ池

現地へは10時ころに到着.しかしながら風が非常に強く,晴れてはいますが,トンボが出てきそうな感じではありません.目星をつけていた池にはオグマサナエはまったく見られませんでした.少し移動すると小さな植生豊かな池があってコサナエ属のオスが何頭か飛んでいました.こんなところにいるのか,と池に降りていきました.しかし,写真を撮ると,ここでは今まで見つけたことがないフタスジサナエでした.

▲フタスジサナエのオス.複数いて,ときどき飛んでは追尾行動をしていた.

▲フタスジサナエのメス.池から少し離れた日だまりにはメスが止まっていた.

オグマサナエはもうちょっと雑風景な池にいる感じがしますので,周辺の池を回ってみました.一カ所オグマサナエが池のコンクリート護岸に止まっていました.そのそばには産卵に来そうな岩壁もあって,しばらく待ちました.でもとにかく風が強くて,このオグマサナエもいつの間にか姿を消していました.

▲コンクリート護岸に止まっているオス.今日唯一池に出ているオグマサナエであった.

メスが来るところには必ずオスがいる,という前提で探したのですが,結局そういったポイントは見つけられませんでした.仕方なくいつも群れている農道へ出てみましたら,そこにオスもメスも集まっていました.未熟なときならこういった風景も分かるのですが,こんな晴れた春の午前,成熟した個体がこんな感じで集まっているのは,どうも合点がいきません.やはり風が強いということが原因しているのでしょうか.

▲風があまり当たらない農道に止まるオグマサナエの成熟オスたち.

▲同じ場所に,オグマサナエの成熟メスも集まっていた.写真にはないが合計3頭見かけた.

ここのオグマサナエ本当にどこで繁殖しているのかよく分かりません.ご覧の通りいつ来ても出会うことはとても簡単なのです.幼虫は一番上の写真の池でたくさん採ったことがありますし,オスが池岸に止まっていたこともありますので,やはりここが本命かと思っています.オグマサナエ,今年は縁がないかなと感じ始めています.帰り際カラスアゲハに出会いました.久しぶりのゲストとして紹介しておきます.

▲ツツジの蜜を吸うカラスアゲハ.

そろそろ川のトンボにシフトしていく時期が来ました.コサナエたちとはお別れをしなければならないようです.