トンボ観察記
No.541. マダラナニワトンボは生き残っているか? 2016.10.10.

この三連休,最終日の今日は朝から晴天.やっと秋らしい晴れの日がやってきました.この最高条件の日に,兵庫県から消え去ろうとしているマダラナニワトンボの生き残りの確認に出かけることにしました.昨年の調査では,単独産卵のメス1頭と,草地で休むメス1頭を確認しただけで,池は本当に静かでした.

1010-992▲2015年に観察したメス.これを含めて2頭だけを観察した.

2012年に観察に行ったときには,次から次へと産卵にやってくるマダラナニワトンボを見ました.コバネアオイトトンボもたくさんいて,まだこんなところが兵庫県にも残っているんだと喜んだものでした.

1010-991▲2012年の観察.たくさんのペアが産卵木やってきていた.

そして3年ぶりに昨年行ったときにはほぼわずか2頭.その前の年,2014年にはまだたくさんいたという情報を得ていますので,激減したのは,2015年のようです.ことしは,これが一時的減少かなにかであることを祈りつつ,最高条件の日を選んで,観察に出かけました.

池に着いたのは10:00ころ.空は晴れて太陽の日差しは暑いほどです.でも池にはトンボは何も飛んでいません.アオイトトンボが1頭だけ横切っただけです.先日のオオキトンボの観察でも感じたことですが,このトンボの減少というか,何もいない田園地帯というのをどう解釈したらよいのでしょう.「もうトンボ観察もやめたくなるなぁ」などと独り言を言っていると,ネキトンボが池を飛び始めました.10時半くらいです.

1010-006▲池の上をホバリングするネキトンボのメス.

ネキトンボは次第に数を増やし,産卵ペアも何組か入りました.やっと池がにぎやかになった感じです.遠くにキトンボらしいのが飛んでいましたが,逆光で遠すぎてよく分かりません.12:00まで待つつもりでいました.2012年の時にも,最初マダラナニワトンボは全然姿を現さず,12時前頃に一気に産卵にやってきたからです.しかし,今日はオスすら全く姿を見せません.11時59分,もうあきらめて帰ろうかと思ったとき,1頭のオスが目の前を飛びました.なんと,帰る決心をする1分前のことです.時計をみていましたから時間は正確.こうなると帰るわけにはいきません.もうしばらく待つことにしました.

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1010-003▲マダラナニワトンボのオス.左後翅がうまく前に倒れないようだ.

さっきのオスはまたすぐに戻ってきて,あちこち止まったりホバリングしたりし始めました.ひょっとしたら産卵にも来るかも…,などと考えながら,このオスをパフォーマンスを撮影していました.

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1010-005▲あちこち移動してパフォーマンスするオス.

しかしながら,12時半になっても,ほかの個体は現れません.2012年の時にも12時45分にはすべての個体が産卵を終えていました.やはり,数は少ないようですね.まあ,今日は,まだ消えていないということだけが確認できたということで良しとすることにしました.また,来年,見に来ることにしましょう.兵庫県下での絶滅がないように祈るばかりです.多分,この場所が最後の生息地だと思います.