新 トンボ歳時記
No.436. もう一度ナゴヤサナエの観察に... 2013.9.21.

チャンスと思ったら徹底的に攻める,という言葉を忠実に守り,先週行ったナゴヤサナエの観察に続いて,今日もナゴヤサナエの観察に出かけました.ねらいはメスが産卵に来て卵塊をつくるときに止まるのを撮影するというものです.そんなにうまくいくはずはないと思いながらも虎穴に入らずんば虎児を得ずのことわざどおり,まずは出かけることにしました.

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現地到着は9:45,川にはまだナゴヤサナエの姿はなく,ハグロトンボがぽつんと止まっていました.そこでウェーダーに履きかえしばらく川の様子を見ていました.10:10,1頭のオスが下流方向から上流に向かって飛びました.なかなか帰ってこないので,まだパトロール飛行という感じでもないようです.しばらくすると,すぐ下流の方で,水面をゆっくりと飛翔するオスを見つけました.さっそく近づいてねらいを定めました.

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停止飛翔気味にゆっくりと移動するような飛び方で,写真に撮るには好都合です.ところが,数回往き来したかと思うと,急にスピードを上げて岸の方に飛びました.メスがいたのです.すぐにタンデムを形成し,岸の木の陰に入って見失ってしまいました.メスが来ていることが分かり,いよいよ気持ちも昂ぶってきました.

その後もオスは時々現れては,往ったり来たりを繰り返しました.11:00を過ぎたころ,1頭のオスが私の足元を通り過ぎたとき,目の端に黒い影が入りました.オスも直ちに反応し,それに飛びかかりました.やみくもにシャッターをきると,飛びかかった瞬間が撮れていました.その後すぐもつれ合った2頭は水面に落ち,オスはタンデムを形成しようとしました.水面でもたもたする時間が結構あったので,うまく写真も撮ることができました.でも,ファインダーをのぞいて気がついたのですが,メスはナゴヤサナエではなくオナガサナエでした.

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オスはそれに気づいたのか,水面にメスを残し飛び立ちました.メスもすぐに水面から飛び立ちました.オスは驚いたからかどうか,ふらふらと飛んで,岸辺の草に止まりました.

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しばらく止まっていましたが,やがて飛び去りました.これ以外にも今日のオスは,しばらく飛んだあと,よく止まります.暑いというより老熟して疲れがすぐにでるのかもしれません(最近の私みたいです(笑)).

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午前中は時々ですが,オスが入ってきて退屈しませんでした.でも12時前あたりから,オスの訪れる数が非常に少なくなりました.どこかに止まっているのでしょう.いくら待ってもやって来そうにないので,一番暑い2時くらいまで,別のところへオニヤンマの産卵を見に行くことにしました.というか,見ることができたらいいなくらいの軽い気持ちでの時間つぶしです.

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兵庫県北部にはコウノトリがいて,時々このように至近距離での出会いがあります.さて,肝心のオニヤンマですが,本当に時間つぶしの無欲がいいのでしょうか,きっちりと目的のポイントでオニヤンマがトントンと産卵していました.

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さて,このあともう一度ナゴヤサナエを見に行きましたが,妙に湿った風が吹き出し,オスも本当にたまにしか飛ばなくなって,結局のところ15:20ころに引き揚げました.

今日は結局はメスを見ることができませんでした.オスが飛びかかったメスはオナガサナエでしたし,ひょっとしたら,最初見たタンデムも,メスの方はオナガサナエだったかもしれません.岸辺の草に止まりそうな飛び方をしていたのに姿が見えなくなってしまい,その直後黒い影が草むらを横切るのが見えたからです.今年はメスには出会えそうにありませんね.