新 トンボ歳時記
No.382. ヤブヤンマの観察転じてアオヤンマの観察. 2012.7.31.

今日も近くの林へヤブヤンマを見に行きました.ところが,現地に着くと,まだまだアオヤンマが元気に飛び回っています.かなり老熟はしているようですが,へたらず,数も多かったです.樹林に隣接しているので,繁殖活動の合間に避暑ができるのが大きいのでしょうね.

アオヤンマは,オスだけで5,6頭は飛んでいたと思われます.ヨシの間を丹念に丹念に飛んで,メスを探します.メスは産卵意欲のない時は樹林の中で過ごしているようで,そういったメスを1頭見つけました.時々移動して,時にはクモの巣に止まっているクモをつついたりしながら過ごしていました.お昼過ぎになってもオスは飛んでいましたが,さすがに時々止まっていました.

11:00ころでしょうか,1頭のメスが産卵をしているのに出会いました.湿地に入っていくとヨシをがさがさ言わせるので,どうしようかと考えましたが,すぐにオスに見つかり,逃げるように追われて飛んでいってしまいました.そこで,メスが産卵していた地点に先に入って待つことにしました.さっきのメスはオスにつかまっていないことを信じ,そして一度産卵していた場所はそのメスが気に入って選んだ場所だから戻ってくると信じ,待ちました.すると,「なんということでしょう...」,メスが目の前に戻ってきて産卵を始めました.読みがぴたりと当たると気持ちがいいものです.

一通り写真を撮ったところでメスは飛び立ち,ぐるっと周囲を一周して,また産卵を開始しようと止まろうとしたときでした.オスが突然現れ,メスは驚いて一目散に逃げていってしまいました.また戻ってくると待ちましたが,残念ながら帰ってきませんでした.少しして周囲を歩くと,多分そのメスでしょう,オスにつかまって交尾しているカップルがいました.

さて,本命のヤブヤンマの観察池にまわり,腰を落ち着けて待つことにしました.いつもどおり,クロイトトンボやモノサシトンボが産卵していました.2時間以上座っていましたら,だんだんとまわりのようすが見えだし,クロイトトンボやモノサシトンボは,池からかなり離れたところにもいて,池の上に広がる樹木の上にも結構飛んでいることが分かりました.池で繁殖活動しているのは,ここの個体群のほんの一部なのですね.

長時間じっとしていると,池の生き物たちも警戒心をゆるめ,色々と顔を出し始めます.今日はウシガエルがたくさん顔を出してくれました.小さな個体が多く,亜成体と呼ばれる段階のもののようです.彼らは,クロイトトンボやモノサシトンボの産卵を狙っていて,何度も何度も飛びついて捕まえようとしています.時々逃げるトンボの姿が見えないときがあり,このときはウシガエルにやられたのでしょうね.それから,"天然ものの"カブトムシが近くの樹木に飛んできて止まりましたので,記念撮影しておきました.まだ新しくてきれいなオスでした.イタチらしき生き物も3回道を横切りました.

さて,本命のヤブヤンマの方ですが,今日はオスが1頭やって来て水を飲んだだけで,メスは来ませんでした.ところが,思わぬものがやってきました.ネアカヨシヤンマのメスです.目の前1往復半飛んだだけでしたが,まず間違いありません.家の近くの林にまだネアカヨシヤンマがいることが分かっただけでも成果でした.今年はここに通うことになるかもしれませんね.なお,ヒメアカネがアオヤンマの湿地のそばでひっそりと暮らしていました.