新 トンボ歳時記
No.343. 成虫越冬三種そろいぶみ 2012.4.21.

今日は雨が降るかもしれないと思っていたところ,朝から快晴状態で,気温も高く,もういくらなんでも成虫越冬種が活動を開始しているだろうと考え,定点の池に出かけました.

池に着くとすぐにホソミイトトンボが飛翔するのが見え,ウェーダーに履きかえて池に入りました.すると,オツネントンボ,ホソミオツネントンボも飛んでいて,成虫越冬3種,そろいぶみということになりました.最近は,3種とも見られる池はそう数多くありません.特にホソミオツネントンボは他の2種と違って湿地状のところを好むので,これが欠けることが多いのです.

成虫越冬3種そろいぶみ

池に入ったのが9:30を少し回ったところで,まだ産卵している個体は見られず,時々タンデムになって飛んでいるオツネントンボを見るくらいでした.池の土手を歩くと,トラフトンボが処女飛行に飛び立ちました.全部で3頭.そこで,注意深く土手を探してみますと,いましたいました,羽化途中の個体が.この池のトラフトンボは,去年もそうでしたが,池の縁や中で羽化するより,土手をかなり歩いて羽化することが多いようです.下の写真のように,水際から2m近く昇って羽化場所を決めています(白い矢印が羽化地点).

トラフトンボの羽化

さて,10:45ころになりますと,オツネントンボの産卵が見られ始めました.去年4月5日に産卵を見たときは,水面に倒れたヨシの枯れ茎に産卵していましたが,今年はスゲの葉に産卵している個体がほとんどです.時期が早いと,水面に直立する植物がまだ十分育っていないからでしょう.基本的に水面より高い位置に産卵するのが好きなトンボですから...

一度産卵が見られ始めると,あちこちで一斉に産卵が始まるから不思議です.水面からちょっと突き出たヒメガマの葉などにもたくさんのペアが止まって産卵をしていました.写真のようにスゲの葉の根元で,3ペアが産卵するシーンにも出くわしました.

オツネントンボの産卵

オツネントンボが産卵を始めたころ,ホソミイトトンボはまだ交尾しているカップルが2ペアほど見られたといった状態でした.まだ産卵を始める気配がありませんのでしばらく待つことにしました.

ホソミイトトンボの交尾

11:20ころでしょうか,産卵を始めているカップルを見つけました.なんとこれは潜水産卵をしていました.ホソミイトトンボの潜水産卵は初めてです.ホソミイトトンボも,産卵が見られ始めるとあちこちで目につきだすから本当に不思議です.ホソミイトトンボの産卵の写真を撮るのは久しぶりです.この2年間意外と産卵に出会わなかったのです.今日は色々なポーズを撮ることができました.

ホソミイトトンボの産卵

ということで,いよいよ今年のシーズンが開幕です.