トンボ歳時記
No.247. 天気が悪い...定点池へ. 2011.5.3.

今日は生憎の曇天で,午前中神戸市内を少しまわりました.しかし,トンボの気配がなく,完全な空振りでした.一つ目の須磨区の川では,幼虫をすくったところ,コシボソヤンマとコオニヤンマが入っただけでした.でもこの川では初記録です.

次の池ではコシアキトンボとフタスジサナエの幼虫だけ.何かトンボが少ないですね.フタスジサナエは羽化殻がいくつかついており,羽化はしているようでした.

この池には,40cmもあろうかという大きな2匹のオオクチバスがいました.いくらすぐそばで網をじゃぶじゃぶやって幼虫をすくっても,そこから離れず,悠然と泳いでいます.よく見ると,すぐそばに,底の落ち葉がきれいにのけられた円形の産卵床らしいものがつくられていました.多分オスがこの産卵床を守っているのか,メスを呼び込もうとしていたのでしょうね.だから離れるわけにはいかなかったのでしょう.トンボの大敵ではありますが,彼らに罪はないと感じてしまいました.

ファイル 247-1.jpg
▲オオクチバス.神戸市内の池にて.
 上の写真は(多分)産卵床.すぐそばに1匹のオオクチバスが離れず泳いでいる.
 中左:産卵床の周辺を泳ぐ.中右:すぐ目の前を横目でにらみながら泳ぐ.
 下は,こちらを警戒して,すぐそばまで来てにらみつけるオオクチバス.
 ネットで検索すると分かりますが,こういった自然の写真は意外とないのですよ.


ということで市内の産地はさんざんだったので,家で昼食をとって,午後から定点の池に出かけました.時々薄日も射すようになってきました.

ファイル 247-2.jpg
▲定点の池とヨツボシトンボ.

池に入ると,クロイトトンボが次々と飛び立ちました.今がクロイトトンボの羽化期のようです.ヨツボシトンボも羽化したのがいて,ササの中に止まってばたばたしていました.こいつは羽化に失敗したようで,左前翅が少し傷んでいました(上の個体).さらにもう一頭岸から飛び立って,一気に林の方に飛び去りました.

ファイル 247-3.jpg
▲クロイトトンボの処女飛行に飛び立った個体(上)と羽化殻(下).

薄日が射して少し暖かくなった時分に,成虫越冬3種がそろい踏みしました.最近はなかなか3種同時というのも珍しくなってきたように思います.

ファイル 247-4.jpg
▲成虫越冬3種そろいぶみ.
 上:オツネントンボ,中:ホソミイトトンボ,下:ホソミオツネントンボ.

そんな中で,ホソミオツネントンボは,産卵ペアも一組だけいました.ストロボで撮ったので,夜の産卵みたいな写真になってしまいました.

ファイル 247-5.jpg
▲ホソミオツネントンボの産卵.

一時期たくさんの個体数が飛びましたが,少し雲が厚くなると,さっと姿を消してしまいました.春のトンボは秋のトンボと同じで,天気の変化に敏感です.

今年は,昨年にもまして,トンボの出が遅いように感じます.例年なら,池は,トラフトンボ,ヨツボシトンボ,シオヤトンボなどでにぎわっているころです.そういえば,トラフトンボのオスが1頭だけ,短時間ですが,池面をパトロールしていました.