トンボ歳時記
No.108. ムツアカネ観察の外道. 2009.9.19.

信州の高原ですから,外道としてはルリボシヤンマやオオルリボシヤンマが期待できます.現地に着くとルリボシヤンマが早速飛んで出迎えてくれました.

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▲湿原の上を飛ぶルリボシヤンマのオス.

よく見るとオオルリボシヤンマも混じって飛んでいます.オオルリボシヤンマは特に今日のねらいではないのですが,産卵に来たら写真に撮ろうと思っていました.ムツアカネの産卵が一段落した12:30ころ,1頭のメスが産卵に入りました.オオルリボシヤンマだろうと思って近づいてみたら,なんとルリボシヤンマ.それも青色型のメス.これはなかなかお目にかかれない珍品です.しかも,人を恐れない,撮影にはもってこいの個性の持ち主!.何十枚とシャッターを切りました.こんなことは一生に一度,二度とないと思います.

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▲ルリボシヤンマの産卵.青色型のメス.目の輝きが独特で美しい.

一方で,いくらでもいるオオルリボシヤンマの方は,なかなか敏感で,近寄れません.遠くから一枚.これは緑型のメスです.

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▲オオルリボシヤンマの産卵.緑型のメス.

ところで,オオルリボシヤンマは,メスが産卵に来ると執拗にオスが後を追いかけます.でも,めったに連結態や交尾には至りません.ところが,今日は,無理矢理連結,無理矢理交尾を見ました.オスが強引にメスを捕まえ,一気に上空へ舞い上がりました.そして,飛びながら交尾態に,やがて樹林の方へ飛び去っていきました.強引に連結するのは3度見ましたが,交尾に至ったのは1例だけでした.

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▲オオルリボシヤンマの連結と交尾.
 左:強引に連結.メスはいやがって腹部を曲げている.
 右:それでもとうとう交尾態になって飛び去った.

あと,高原では,アキアカネが産卵に来ていました.昔はものすごい数のアキアカネが産卵に来ていましたが,今日は2ペアだけ.まだ時期が早いのでしょうか? それとも,この地方でも減少傾向にあるのでしょうか....

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▲アキアカネの産卵.
 上:メスは腹部黄褐色,
 中:打泥産卵の瞬間.連続写真.
 下:メスが腹部赤色型.

あと,アオイトトンボ,ウスバキトンボ,コノシメトンボなどを目撃しました.こんな標高の高いところまでウスバキトンボがやってきているのには驚きました.今日のトンボ観察では,ルリボシヤンマの青色型メスの出現で,ムツアカネがかすんでしまいました.