トンボ歳時記
No.103. ミルンヤンマとの遭遇. 2009.9.5.

今日は特にトンボを探しにいったわけではありませんでしたが,家族サービスで姫路市の奥の方へ出かけました.現地は川の上流の方で,ムカシトンボも飛ぶところです.

車を降りて少ししたとき,小型のヤンマがやってきて,車の周りを飛び回り始めました.メスのミルンヤンマでした.あわててカメラを向けようとすると,目の前にやってきて私の白い帽子に止まろうとしました.帽子に止まったのを払いのけると,今度は目のすぐ上のむき出しのおでこに止まり,産卵管をおでこに突き立てようとしました.いかにも痛そうな予感がしたので,これは逃げました.

少しすると,川の方に移動し,姿が見えなくなりました.川は薄暗く,倒木も多くて,ミルンヤンマの産卵に最適な状態です.必ずどこかで産卵しているとの確信のもと,準備を整えて,川に入りました.すると,すぐ足下からメスが飛び上がり,上方の木の枝に止まりました.

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▲産卵していたメスをおどかしてしまい,すぐ上の木の枝に止まった.

こうなったら,根くらべです.おでこに産卵管を突き立てようとするくらいですから産卵する気は満々のようです.必ず降りてくると信じて待ちました.すると程なく舞い降りてきて,産卵場所を探すようにあちこち止まっては産卵管を突き立て,気に入らないのかすぐ飛び立ち,といった動作を繰り返しました.そしてやっとお気に召す朽ち木が見つかったのか,落ち着いて産卵を始めました.

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▲無心に産卵するメス.

こうなるとメスは度胸が据わるのか,少々のことでは動じません.カメラを相当に近づけて,ストロボをたいても,逃げる気配すらありません.向きを変えて,せっせと産卵をしています.

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▲向きを変えて産卵を続けるメス.

ある程度撮影するとこちらも欲が出てきていろいろなアングルで撮影をしようとします.その動きが気に入らなかったのでしょうか,急に飛び立ちました.またすぐ上の木にとまりました.しかし今度はその上の方で産卵行動を始めました.

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▲逃げて止まったところで産卵行動を示す.

しかし樹皮が固いのか,すぐにやめてまた舞い降りてきました.そして私の手に止まり,また産卵管を突き立てようとするのです.思わずカメラを構えましたが,上の写真を撮るためにマニュアルフォーカスにしていたので,片手ではピントが合わず,おもしろいショットを逃しました.残念.しかし,このメスは私が相当に気に入ったのか,また帽子をねらい,おでこに産卵管を突き立てるのです.これを振り払いましたら,今度は足下を飛びまわり,長靴に止まって産卵行動を行いました.今度はばっちりと写真におさめることができました.

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▲左:長靴をねらってホバリングするメス.右:ひもに止まって産卵.

このミルンヤンマ,本当に人なつっこいメスでした.でも,白い車といい,白い帽子といい,白い?おでこといい,白い腕といい,産卵した朽ち木も白かったし,白いものに産卵するのが好きなのでしょうかね?

今日は特にミルンヤンマをねらいに来たわけではありませんでしたが,家族サービスという「いいこと」をしたご褒美に,ミルンヤンマさんがパフォーマンスを見せてくれたのだと思います.よしよし...