トンボ歳時記
No.066. 宝塚市の小さな湿地. 2009.5.30.

雲がかなり切れて,陽が普通に射すようになり,日向を歩くと汗をかくくらいになってきました.サラサヤンマがいないか,ヤマサナエのメスが入り込んでいないか,など,期待をしながら現地に入りました.

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▲林道というか農道.写真右横の草が生えている部分に溝状の湿地が続く.

まあ,当たるときは,希望が全部叶うものです.まず,サラサヤンマが2頭,林道上を摂食飛翔していました.かなり写真を撮りましたが,ホバリングをしないので全部ボツ.あきらめて少し戻ったところ(写真上の草地部分)で,今度はホバリングをよくする個体を見つけました.

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▲サラサヤンマのオス.しきりにメスを探すような仕草をしていた.

何枚も撮って,やっと飛んでいるところを決めることができました.他の方々のトンボ写真サイトには,飛んでいるのをうまく撮ったものがたくさん掲載されています.本当に感心する次第です(脱帽!).

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▲ヤマサナエの未熟なオス.

サラサヤンマの撮影に手応えを感じたとき,まあうまくいくときはウソのように,ヤマサナエのオスが目の前に止まりました.本当にウソのようです.

ただ,撮影を終えて家に帰ってから,先日タベサナエをホンサナエと思いこみ,よく確かめもせずに失敗した記憶が脳裏をかすめました.あのトンボ,キイロサナエではなかったか,と思い始めました.そこで写真と手持ち標本をじっくりと比較し,ヤマサナエと同定しました.撮影の角度の関係で,尾部下付属器が長く見えキイロサナエのように見えるフシもあるのでまだ少し心配は残っていますが,翅胸前面のL字斑の形状がヤマサナエ的ですし,あるショットに写っている副性器の形状もヤマサナエ的でした.写真で同定するのは本当に難しいです.

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▲ヤマサナエの未熟なメス.

さてこうなってくると,メスも探しちゃえ,と意気込みました.するといとも簡単にメスを発見.これも同定は慎重にしました.真横からのアングルの写真で,産卵弁が伸びていないことを確認しましたのでキイロサナエではありません.ただ,時々産卵弁の伸びていない奇形のキイロサナエがいることは事実ですが....

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▲クロスジギンヤンマのオス

本当に今日はおもしろい日です.おまけまで付きました.クロスジギンヤンマのオスです.これは,実は交通事故にあって気絶寸前状態の個体を道路で拾い,木にとまらせて撮影したものです.復活して飛び立ってくれたらいいのに.....,と願いつつ,そのままにして,次は猪名川町へ出かけました.