トンボ歳時記
No.049. 源流域のトンボ調査. 2009.5.3.

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▲川の源流に沿って走る道路.ここをムカシトンボが摂食飛翔で飛ぶ.

春の河川源流域には,ムカシトンボが見られます.今日は,晴れ間が午前中だけということで,行きがけに加西市でベッコウトンボの調査をしてから,姫路市を流れる河川の源流域へ出かけてきました.

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▲ムカシトンボのオス.採集して止まらせて撮影したもの.

四国や関東ではムカシトンボの季節はもう終わりに近づいたなどという私信をもらっていますが,この地域のムカシトンボはどうやら例年通りのようです.1頭採集してみたところ,まだ体が柔らかく弱々しい感じでした.4,5頭の摂食飛翔を見ただけでした.この場所はいったいどこで産卵しているのかよく分からず,幼虫もまだ採ったことがありません.今日も挑戦しましたが,ミルンヤンマが入っただけでした.


ムカシトンボの「無事」を確認したので,次はヒメサナエの幼虫の確認に出かけました.ここは友人からの情報で知った場所で,地名情報は伏せておきたいと思います.

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▲ヒメサナエの生息する川の源流域.(兵庫県)

ファイル 49-4.jpg川に入って早速幼虫をすくうと,オジロサナエが非常に多く,一網で5〜8頭程度入りました.最近たくさんいるところが少なくなったように感じるオジロサナエですが,これほど幼虫が採れる場所にあたったのは久しぶりです.

初めのうち,少し流れの緩やかなところで底の砂利を足でかき混ぜて幼虫をすくっていましたが,入るのはオジロサナエばかりでした.しばらくしてから,今度は流れの速いレキ底を引っかき回してみましたところ,ヒメサナエが網に入りました.オジロサナエとヒメサナエが一緒に網にはいることはほとんどなく,小さな川ではありますが微小生息場所を異にし,住み分けているように感じられました.

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▲ヒメサナエの幼虫.体表面の泥を洗い落として撮影した.

ヒメサナエは終齢が2頭採れましたが,あとはF-1以下の小さな幼虫ばかりで,オジロサナエと一緒に逃がしてやりました.ここはオジロサナエが密度高く生息しているという点でも,貴重な場所だと思います.夏に成虫を観察に来てみたいところです.