兵庫県の幼虫ガイド
H049. タベサナエ Trigomphus citimus tabei
タベサナエ終齢幼虫
写真1.タベサナエ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長23mm前後.2010.4.25.
<特ちょう>
 タベサナエはサナエトンボ型の幼虫です.腹部の一番先の第10節はつつ形をしていますが,あまり長くはありません.前あしと中あし(脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側には小さなとげが出ています.腹の横のとげ(側棘:そっきょく)は第6−9節にあります.また背中には目立つはっきりとしたとげ(背棘:はいきょく)があります.はっきりとした背棘は,腹部の第5節から第9節にまでは必ずあり,さらに第4節にもふつうに,第3節にはときどき見られます.触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.

タベサナエのそっきょくとはいきょく タベサナエとタベサナエ
写真2.第6−9節に側棘があり,背棘は第5−9節には必ずあります. 写真3.触角は棒のような形で,翅芽はまっすぐ後ろに伸びます.


<よくにた幼虫との区別>
 タベサナエによくにた幼虫に,フタスジサナエコサナエオグマサナエがいます.まずコサナエは,兵庫県では北の方にしか住んでいませんので,兵庫県の中ほどや南の方で見つけた幼虫はたいていコサナエではありません.また逆に,兵庫県の北の方にはコサナエしかいませんので,写真1ににた幼虫がとれたら,たぶんそれはコサナエでしょう.
 タベサナエにははっきりとした背中のとげ(背棘)がたくさんあるので,フタスジサナエオグマサナエとの区別はかんたんです.また写真4のように,腹部の第10節もとても短いです.

腹部の第10節の長さくらべ.
写真4.タベサナエとよくにた,オグマサナエフタスジサナエコサナエの,腹部の一番先の,第10節の長さをくらべたもの.
<さがす場所のヒント>
 タベサナエは池にも川にも住んでいます.川では,岸に植物が生えた場所の,砂や泥(どろ)がたまった岸近くの底にもぐっています.池に住むときは,山の中や林の中にあって,まわりに木や草が生えていて,落ち葉などが底にたまっているようなところが好きです.池の底の落ち葉の下や泥の中にもぐって生活しています.成虫のメスは,草が生えた岸辺で,空中から卵をばらまきます.よく見つかるので,住んでいるところさえ見つければ,採るのはわりあいかんたんです.

タベサナエの産卵場所.
写真5.池のまわりに草が植物がたくさん生えている池で,空中から卵を産んでいるタベサナエのメス.