兵庫県の幼虫ガイド
H047. ヒメサナエ Sinogomphus flavolimbatus
ヒメサナエ終齢幼虫
写真1.ヒメサナエ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長15−18mm.2009.5.4..
<特ちょう>
 ヒメサナエは小さなサナエトンボ型の幼虫です.体全体が固い感じです.写真3のように,触角(しょっかく)は平たくだ円形をしていて,急な角度で内側を向いています.写真2のように,腹の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.また背中には小さなとげ(背棘:はいきょく)が第6−9節にありますが,先がとがっていない丸いふくらみになっていて,第6,7節のものはとても小さいです.翅芽(しが)はまっすぐ後ろにのびています.

ヒメサナエのそっきょくとはいきょく ヒメサナエのしょっかく
写真2.腹部の第8,9節に側棘があり,6−9節に背棘があります. 写真3.触角は急な角度で内側を向いています.


<よくにた幼虫との区別>
 ヒメサナエは,全長が15−18mm程度のとても小さい幼虫ですので,20mmをこえるヒメクロサナエオナガサナエアオサナエとまちがえることはないでしょう.大きさがよく似ているのは全長17mm程度のオジロサナエです.しかし写真3のように,オジロサナエ触角が三角形をしていますので,だ円形で内側を向いているヒメサナエと,区別できます.


<さがす場所のヒント>
 ヒメサナエは川の住人ですが,あまりどこにでもいるトンボではありません.メスは,写真4のような,川の上流の小石が底にたまっているようなところで,産卵します.こういったところで幼虫が見つかることがありますが,ヒメサナエの幼虫は川を下っていく性質があって,もっと下流の方でも見つかります.そのときでも,小石の中にもぐって生活しているようで,オナガサナエアオサナエなどといっしょに採れることが多いです.

ヒメサナエの産卵場所.
写真4.産卵するメス.上流の小石がころがっているようなところで産卵します.幼虫は川を下って移動します.