兵庫県の幼虫ガイド
H060. オニヤンマ Anotogaster sieboldii
オニヤンマ終齢幼虫
写真1.オニヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長は50mm前後.2009.5.5.
<特ちょう>
 オニヤンマはヤンマ型の幼虫です.写真2のように,翅芽(しが)は少し左右に開いています.触角(しょっかく)は糸のように細いです.体はやわらかい感じです.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にありますが,いずれも小さいです.背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,下唇(かしん)を引きのばして,下唇側片(かしんそくへん)を見ると,その先がギザギザになっています.

オニヤンマのちいさなようちゅう オニヤンマのしゅうれいようちゅう
写真2.触角は糸のように細く,翅芽は左右に開いています.
あしの脛節(けいせつ)がやや長くなっています.
写真3.下唇側片の形.先がギザギザになっています.
 


<似た幼虫との区別>
 ヤンマ型の幼虫なので,ほかのヤンマと見まちがえるかもしれません.いちばんのちがいは下唇です.オニヤンマは,下唇がスプーンのような形をしていますが,ほかのヤンマは,うすっぺらい板のような形です.また,オニヤンマは下唇側片の先がギザギザになっていますが,ほかのヤンマには,これほどはっきりとしたギザギザはありません.


<さがす場所のヒント>
 オニヤンマは小川の住人です.写真4のように,メスは,流れの底にたまっている砂の中に,飛びながら,腹の先をつきさして,卵を産みつけます.ですから,川といっても,細くて浅いところを好みます.川の上流の浅いところや,浅い用水路,湿地(しっち)の浅い流れなどによく見つかります.終齢幼虫は,夏の終わりから次の年の初夏まで,ほぼ一年中見られます.

オニヤンマの産卵場所.
写真4.浅い流れにやってきて,飛びながら,何度も腹の先を底の砂の中につきさして,産卵するメス.