兵庫県の幼虫ガイド
H034. ルリボシヤンマ Aeshna juncea juncea
ルリボシヤンマ終齢幼虫
写真1.ルリボシヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長45mm前後.2011.5.14.
<特ちょう>
 ヤンマ型をした幼虫です.全体的に地味な茶色の幼虫で,あしや体にはっきりとした明るい色の部分がほとんどありません.写真2のように,オオルリボシヤンマの頭の横のへりにある明るい色のスジも,ルリボシヤンマにはありません.ルリボシヤンマには背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,腹の横の部分にはとげ(側棘:そっきょく)があります.ただし,第6節のとげは小さくてほとんど分からないときもあります.


ルリボシヤンマのはいきょく ルリボシヤンマのそっきょく
写真2.頭の横のへりには明るい色のスジがありません. 写真3.ルリボシヤンマの横のとげ.第6〜9節にあります.


<似た幼虫との区別>
 オオルリボシヤンマと同じ場所で採れることがあります.オオルリボシヤンマは,頭の横のへりの部分に明るい色のスジが出ますが,ルリボシヤンマは出ません.また腹の先についている肛錐(こうすい)とよばれる構造物も,オオルリボシヤンマほどながくありません(写真3).


<さがす場所のヒント>
 ルリボシヤンマは,日本では北の方の寒いところにたくさん住んでいるヤンマです.ですから,兵庫県では,すずしい高い山の上にだけ住んでいます.池にも見られますが,湿地(しっち)が好きなようです.時には,わき水でできた小さな浅い水たまりに幼虫がいることがあります.高い山へ出かけることがあったら,そういう水たまりがあれば,水の中をすくってみるとよいでしょう.卵は,9月に入ってから,湿地にころがっているかれ木や,生えている植物,コケの中などに,産みつけます.それから2年以上かかって成虫になります.ですから幼虫は一年中見られます.羽化を観察したいときは,6月終わりころにとりに行くと,羽化が近い終齢幼虫をとることができます.

ルリボシヤンマの産卵場所.
写真4.ルリボシヤンマの産卵.幼虫はこういった小さな水たまりの,岸近くの泥(どろ)の中にもぐっています.