神戸のトンボたち
K079. オオキトンボ Sympetrum uniforme
連結打泥産卵.2009.10.12.,神戸市西区.
連結打泥産卵.2009.10.12.,神戸市西区./神戸市RDB:
 各地で激減しているアカトンボです.水質汚染に弱いといわれ,隣の大阪府でも1984年以来報告がありませんでした(津田,1989).その後泉南の方で採れたと聞いてはいます.
 兵庫県下でもかつては非常に数が少なくなっていましたが,最近県下全域でやや増加傾向が伺われます.その原因は,各地で秋にため池の水落をしはじめて,オオキトンボの産卵環境が増加したからだと考えられています.オオキトンボは,羽化して体が固まると,一気に高く舞い上がり,見えなくなるくらい高く遠方に飛び去ります.そんなわけで,羽化してから10月頃池に現れるまでの生活状態がよく分かっていません.広く分散して生活していることは間違いないようです.そんなわけで移動力がかなりあるようで,ため池をネットワーク化して,その年々の繁殖適所を探しながら世代をつないでいるように思えます.ひとえに兵庫県南部のため池の多さと本種の生活様式がうまくマッチしていることが,絶滅危惧T類でありながらも本種が兵庫県下に多い理由だろうと推察されます.
 神戸市内でも一部の池で増加傾向が見られ,毎年産卵が見られるところもあります.今後とも,市内西部のため池群が兵庫県のため池ネットワークの一部となって,本種が毎年市内へ飛来し,繁殖を続けていくだろうと思われます.