神戸のトンボたち
K005. コバネアオイトトンボ Lestes japonicus(記録地公表種)
タンデム.1991.10.18.,神戸市西区.
タンデム.1991.10.18.,神戸市西区櫨谷町松本(湯出池)./神戸市RDB:
 市内の記録は西区,長田区にあります.このほかに関西トンボ談話会(1984)では鈴蘭台〜藍那の近辺にプロットが落ちていますが,後に発行されたデータ集(関西トンボ談話会,2006)では神戸市内の記録が掲載されておらず,記録の真偽については不明です.
 長田区鹿松町(獅子が池)にはおそらく今はいないものと思われます.ここで記録した松本(1982)は「コバネアオイトトンボは洪積台地(こうせきだいち)の遠浅の池に産し,特定の水生草本(当地で私が知る限りではカヤツリグサ科カンガレイ)の茎にのみ卵を産付する珍しい種類である.風に強い日には水面下水底迄(まで)降りて産む.」と述べています.カンガレイ以外にはクログワイにも産卵します.まれにヒメガマに産卵することもあります.
 1990年代までは,西区櫨谷町にはコバネアオイトトンボの産する池が点在していましたが,そのうち櫨谷町谷口の南谷大池は西神南団地の建設に伴う池の改修工事で消滅,もう一つの多産地である櫨谷町松本(湯出池)は兵庫県南部地震でため池が崩壊し,その改修工事で消滅しました.この池にはあふれんばかりのコバネアオイトトンボがいました.櫨谷町以外では伊川谷町長坂でオス1頭の記録がありますが,その後は全く発見されていません.
 現在神戸市では本種が確実に見られるところはありません.兵庫県下でも確実に見られるところがなくなっているといってもいいような状態です.
標本で見る消えたトンボたち

 神戸市内で絶滅状態と思われる本種について,皆さんの再発見を期待し,過去の生息地名を公表しています.もし見つけたら,トップページ下部に掲載しているメールでお知らせいただけると幸いです.