トンボノート
No.771. やっと出会えた成虫越冬種.2021.4.20.

4月20日.例年ですと,いろいろな春のトンボが姿を見せはじめる時期です.今日はそういった春のトンボの姿を見に行くことにしました.まず最初の池はかつての定点池.すぐ近くで工事をやっているせいか,水が満水ではありません.ということで,1頭のクロイトトンボの処女飛行を見ただけでした.

次が,シオヤトンボの池.池の縁を歩きますと1頭のトンボが,コンクリート護岸の水際から,処女飛行に飛び立ちました.ハラビロトンボに見えました.そっと近づいて写真を撮りました.早い羽化です.シオヤトンボの未熟な個体も2頭ほど見られました.ホソミオツネントンボも2頭飛んでいました.ちょっとピンボケで紹介はできません.

▲ハラビロトンボのメス.かなり早い羽化である.
▲シオヤトンボの未熟なオス.

次はオツネントンボを探しに行きました.今日でここは3回目ですが,今年はオツネントンボは集まっていないようです.シオヤトンボは,未熟な個体に混じって,もう成熟したオスがいました.コサナエ属のなかまの姿もありませんでした.ホソミイトトンボが1頭,池の縁を飛んでいました.

▲縄張り活動中のシオヤトンボ成熟オス.

ということで,次はタベサナエやフタスジサナエを見に行きました.ここでは,フタスジサナエが羽化をしていました.タベサナエもいましたが,まだ成熟しきっていません.池から周りの林に向かって,処女飛行に飛びたつコサナエ属の姿もありました.

▲フタスジサナエの羽化.他に,羽化殻も2個見つかった.
▲タベサナエのメス.だいぶんからだがしっかりしてきているようだが,まだ成熟はしていないようだ.

ここでもシオヤトンボの成熟したオスがいて,メスと交尾していました.しかしメスは産卵せず,どこかへ行ってしまいました.まだきっと成熟していなかったのでしょう.

▲成熟したシオヤトンボのオス.

少し見かけたホソミオツネントンボにしろホソミイトトンボにしろ,どうも群れているという感じではありません.そこで,去年ホソミイトトンボを見た池へ行ってみることにしました.ここにはいました.ホソミイトトンボが10頭程度,3ペアがタンデムになって,交尾,産卵を行っていました.本当に成虫越冬種を見つけにくくなりました.というか,イトトンボ全体が減っている感じです.









▲交尾・産卵するホソミイトトンボたち.

いるべき種がいると,ほっとする感じです.この池の近くでは,オグマサナエ,タベサナエ,ヨツボシトンボが見つかりました.これで今日,コサナエ属3種に出会えました.

▲オグマサナエのオス.私の観察地ではオグマサナエの数が一番少ない.
▲ヨツボシトンボのオス.もう成熟して,縄張りを形成していた.
▲タベサナエのオス.まだ羽化直後だ.

やっとトンボが出てきた感じです.今年は3月が異常に暖かかったのでトンボの出が早いかと思いましたが,例年通りという感じでした.

今日の観察で残念だったのは,最初に訪れた場所で,工事で池の底を掘り返していたことです.特になだらかになった岸辺の部分を深く浚渫していました.これによって,この池で発生していたヨツボシトンボやトラフトンボの幼虫は全滅したものと思われます.本サイトの動画で紹介しているトラフトンボやヨツボシトンボはこの池で撮影したものです.近くの池に退避してくれていればいいのですが.こうやって,観察地が一つずつ消えていきます.