神戸のトンボたち
K042. ダビドサナエ Davidius nanus
メスの静止.1997.6.1.,神戸市灘区.
メスの静止.1997.6.1.,神戸市灘区.
 ダビドサナエは,幼虫をすくうとあちこちでよく網にかかります.幼虫は河川の渓流の砂がたまっているような所にいます.しかし,成虫の方は,六甲山町の産地を除いて,あまり姿を見ることはありませんでした.北区の河川でも各地で多数の幼虫が採集されていますが,オオカワトンボやヤマサナエなどを探しに5月〜6月にかけてかなりその付近を訪れたにもかかわらず,成虫の姿はついに見ることはありませんでした.
 六甲山町の産地では5月の中旬に流れの小石の上などに静止する成虫を見ることができました.しかしここも,湿地化が進行し,現在は数が少なくなってしまいました.
 成虫は開けた川よりも,草がいっぱい生えたやや細い流れの方を好むように思えます.メスや若い個体は樹木の葉の上に止まっていることが多いようです.メスが草の中に潜り込み,水面上20cm程度の所でホバリングして,いわゆる停止飛翔産卵(ていしひしょうさんらん)を行っているのを観察したことがあります.
 北区の河川での幼虫調査では,上流域の方に圧倒的に個体数が多かったようです.したがって,どちらかといえば河川の上流から渓流にすむトンボであるといえます.
 各地の観察記録や文献記録を総合すると,神戸市では4月の下旬に羽化し6月中旬までその姿を見ることができます.